前方から後方へのもやもや血管の移動は頭蓋内出血と関連する

公開日:

2018年9月28日  

最終更新日:

2018年9月28日

Longitudinal anterior-to-posterior shift of collateral channels in patients with moyamoya disease: an implication for its hemorrhagic onset.

Author:

Yamamoto S  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Science, University of Toyama, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:29570010]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Mar
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

もやもや病においては,LSAなど穿通動脈が,脳虚血から代償的に発達し,代替的な側副血行路として機能している(文献1).LSAは鈴木病期分類第3期に発達し,さらに病期が進行すると縮小することが知られているが,PCoAやAChA,PChA分枝のもやもや血管に関する経時的変化は詳細ではない.また,小児例の多くが脳虚血症状で発症するのに対し,成人例の約半数が脳内出血で発症する機序は不明である.富山大学のYamamotoらは,もやもや病患者41名を対象とし,LSA,PCoA,AChA,PChA由来の側副血行路の経時的変化とその病型を解析した.

【結論】

LSAは鈴木分類第2期に拡張,第3期に最も発達し,第4期以降では縮小した(p<0.001).AChAは第3期に最も発達し,次第に縮小した(p=0.04).PCoAは第3期に拡張し,第4期に最も発達した(p=0.03).PChAは第3期に拡張し,第4〜5期に最も発達した(p<0.001).年齢とLSAの発達は負相関で,PCoAとPChAの異常発達は正相関であった(p=0.01,p=0.02,p<0.00).PCoA,AChA,PChAは,虚血性脳卒中やTIAに比べ脳内出血・脳室内出血例において有意に発達していた(p<0.001,p=0.03,p=0.03).

【評価】

もやもや病の基礎病態は,経時的変化を含め血管造影による鈴木病期分類に集約しており,これは内頚動脈系に脳循環を依存した状態から代償性に異常血管網が発達し,椎骨脳底動脈系・外頸動脈系への依存に移行するものである.本研究はもやもや血管の縦断的変化と疾患進行度の関連を報告したものであり,筆者らは“anterior-to-posterior shift”の概念を提示しており,側副血行路の役割が次第にLSAからAChA・PCoA(内頚動脈系)にシフトし,最終的にPChA(椎骨脳底動脈系)に変化すると説明している.この変化は年齢と関連があり,小児例ではLSAの発達が有意であったが,成人例となるとPCoA・PChAの発達と後方循環系にシフトしている.PCoAやPChAの異常発達は出血性脳卒中の予測因子となることが知られており(文献1),これは成人が小児に比べ出血型の発症傾向にあることを説明しているのかもしれない.AChAやPCoAと頭蓋内出血の関連は報告されており,Funakiらによるとchoroidal anastomosis形成は後方出血のリスクとなり,解剖学的にも出血ポイントとの関係が指摘されている(文献2).もやもや病の初回発作では後方出血が前方出血より多いことに関連する可能性がある.
分子学的病因としては,異常血管網の発達や頭蓋内出血にMMP-9(matrix metalloproteinase-9)の関与も推測され(文献3),他にももやもや病感受性遺伝子RNF213の変異が頭蓋内血管の発達に関与する報告もあり(文献4,参考サマリー),さらに詳細な病態メカニズムの解明が期待される.

執筆者: 

鮫島芳宗   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する