内頸動脈系タンデム病変には,抗血栓薬+頚動脈ステント留置術+血栓回収がベスト

公開日:

2018年10月2日  

最終更新日:

2018年10月11日

Carotid Stenting With Antithrombotic Agents and Intracranial Thrombectomy Leads to the Highest Recanalization Rate in Patients With Acute Stroke With Tandem Lesions.

Author:

Papanagiotou P  et al.

Affiliation:

Department of Diagnostic and Interventional Neuroradiology, Hospital Bremen-Mitte/Bremen-Ost, Bremen, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:29976365]

ジャーナル名:JACC Cardiovasc Interv.
発行年月:2018 Jul
巻数:11(13)
開始ページ:1290

【背景】

タンデム病変(tandem lesion)と表される頚部内頚動脈の高度狭窄・閉塞と頭蓋内動脈閉塞が共存した急性期脳梗塞に対する最良の治療選択が何かは未だ不明である.本研究は,タンデム病変による急性虚血性脳卒中・国際多施設レジストリー(TITAN)に登録された482名の患者を対象とした.実施された治療法は,頭蓋内血栓回収術(全例で実施)に加えて,Group 1(256例)=頚動脈ステント留置術+抗血栓薬,Group 2(66例)=頚動脈ステント留置術,Group 3(52例)=経皮的血管形成術,Group 4(108例)=血栓回収術のみ.

【結論】

Group 4を基準に,各グループを比較すると,有効再開通(TICI 2b/3)と90日後のmRS≦2の達成に関して, 有意差が出たものはGroup 1のみであり,多変量解析においてもGroup 1は有効再開通に対する独立した関連因子となった(オッズ比:2.4;95% 信頼区間:1.25〜4.59;p=0.008).安全評価項目(症候性頭蓋内出血と90日間以内の死亡)に関しては,有意差はなく,血栓溶解療法の実施率に関しても有意差は認めなかった.

【評価】

タンデム病変に起因した急性期の脳梗塞症例は,従来のランダム化比較試験からはしばしば除外され,解析対象に含まれた場合であっても登録症例数が非常に少なかった.前方循環の急性閉塞に対する血管内治療の有効性を証明した5つの報告をメタ解析したHERMES studyの中にも,血管内治療群634例の中に重複病変(tandem lesion)は122例しか含まれていない(参考文献1).
タンデム病変に起因した急性期の脳梗塞症例の治療方法に焦点を当てた本研究では,Group 4(血栓回収術のみ)との比較においてGroup 1(血栓回収術+緊急頚動脈ステント留置術+抗血栓薬)だけに有効再開通(TICI 2b/3)と90日後のmRS≦2の達成に関して有意差が生じている.しかし,各症例をどの様に治療するかの決定は各施設の血管内治療医の判断に委ねられており,そこに一定の選択バイアスが存在している事は無視できない.
本研究では,抗血栓薬の使用と症候性頭蓋内出血の出現との間に相関は示されておらず,血栓溶解療法の実施率に関しても各群の間に有意差はなかった.血栓溶解療法を行っていたとしても,ステント内血栓症を予防するための抗血栓薬の投与を行うことは,許容されると考えられる.
なお,Group 1内で,抗血栓薬を1種類のみ用いた群と複数種類使用した群間で,主要評価項目と安全性に有意差はなかった.抗血栓薬の種類,用量に関しては各施設間で統一されておらず,今後,前向き試験で検討されるべき課題として残っている.

執筆者: 

大庭秀雄   

監修者: 

有田和徳

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