卵円孔開存を有するESUS患者ではリバロキサバンが有効らしい:否定されたNAVIGATE ESUSのサブグループ解析

公開日:

2018年10月11日  

最終更新日:

2018年10月11日

Rivaroxaban or aspirin for patent foramen ovale and embolic stroke of undetermined source: a prespecified subgroup analysis from the NAVIGATE ESUS trial.

Author:

Kasner SE  et al.

Affiliation:

Department of Neurology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:30274772]

ジャーナル名:Lancet Neurol.
発行年月:2018 Sep
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

2018年6月に公開された,NAVIGATE ESUSの主試験(primary endpoint)では,リバロキサバンはアスピリンに比べて,ESUSに対する再発予防効果は高くなく,出血リスクはアスピリンより高いことが明らかになった(文献1).本報告は,ESUSの原因の1つである卵円孔開存(PFO)を有する患者を対象としたサブグループ解析の結果である.全対象患者7,213人中,PFOを有する患者は534人(7.4%)で,リバロキサバン群259人,アスピリン群275人.

【結論】

PFOを有するESUS患者では,リバロキサバン投与群ではアスピリン投与群に対して虚血性脳卒中の再発のハザード比(HR)は0.54と低かったが,統計学的な有意差は得られなかった(HR:0.54;95% CI 0.22〜1.36).PFOを有さない患者では虚血性脳卒中の再発頻度は2群間でほぼ同一であった(HR:1.06;0.84〜1.33;P interaction=0.18).

【評価】

著者等は,“リバロキサバン投与は,PFOを有するESUS患者に対する虚血性脳卒中再発抑制のエビデンスは示されなかった”とかなり控えめに結論している.しかし,NAVIGATE ESUSは,一次エンドポイント検討の結果,リバロキサバンはアスピリンに比較してESUSに対する再発予防効果は高くなく,出血リスクはアスピリンより高いことが明らかになった段階で,当初の予定よりかなり早期に中止されている(観察期間中央値:11ヵ月).このため,観察期間中のPFO患者の虚血性脳卒中発生数は20件(リバロキサバン群7件,アスピリン群13件)に過ぎず,このことが,統計パワー不足を生み出した最大の要因と理解される.
一方,これまでPFO-ESUS(cryptogenic stroke)を対象とし,いずれも統計パワー不足であった抗凝固剤薬 vs. 抗血小板薬の2本の試験(PICCS 2002,CLOSE2017)(文献2,3)と本試験(NAVIGATE ESUS2018)の症例を合わせて解析したところ,抗凝固薬が抗血小板薬に比してHR 0.48(95% CI 0.24〜0.96;p=0.04)で,脳塞栓に対する再発予防効果が高いことが示された.今後,PFOにターゲットを絞った,DOAC vs. アスピリンの脳塞栓二次予防のトライアルが組まれるであろう.
本研究ではPFO患者の検出は経胸壁エコーと経食道エコーを用いており,その頻度は7.4%と低かった.一方,気泡生理食塩水を使用した経頭蓋ドプラー(バブルTCD)による右左シャントの検出によるPFOの頻度推定では37%という報告もあるので,今後の試験においてPFO検出法の統一は必須となる.
さらに,バルーンによるPFOの閉鎖が脳塞栓二次予防に有用であるというエビデンスも蓄積されており,これとDOACの比較も重要なテーマとなってきている.

執筆者: 

菅田淳   

監修者: 

有田和徳

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