現在世界に,てんかん外科の適応患者は1100万人いる:167の住民ベース研究から

公開日:

2018年10月12日  

最終更新日:

2018年10月12日

An estimation of global volume of surgically treatable epilepsy based on a systematic review and meta-analysis of epilepsy.

Author:

Vaughan KA  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Hospital of the University of Pennsylvania, Philadelphia, Pennsylvania

⇒ PubMedで読む[PMID:30215556]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Sep
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

世界規模で,てんかん外科の適応となる人口はどれくらいなのか,ペンシルベニア大学のVaughanらは,この問いに答えるために,1990~2016年に実施された人口ベース研究のうちあらかじめ決められた質を有する167個の研究を基にメタ解析を行った.

【結論】

世界では,生涯で1回でもてんかんと診断される(life time epilepsy)の頻度は1,099/100,000人で,活動性てんかん(active epilepsy)の有病率は690/100,000人であった.てんかんの発生率は62/100,000人・年で,世界で毎年 460万人のてんかん患者が発生した.活動性てんかんの有病者数は世界で,5170万人で,8230万人が生涯で少なくとも1回てんかんと診断されている.世界には手術で治るてんかん患者が1010万人おり,毎140万人が登場する.発症率が最も低いのはヨーロッパで,高いのは中東とラテンアメリカであり,有病率が最も高いのはアフリカとラテンアメリカである.

【評価】

従来,全世界でのてんかんの有病者数は5000万人,このうち20~40%が薬剤抵抗性てんかんで,薬剤抵抗性てんかんの1/3が手術療法の対象と推計されてきた(文献1,2).今回のVaughanらの報告は従来の推計値と大きな相違はないが,確立された統計手法で導き出された統計諸量は,今後,世界的あるいは地域的な医療・健康政策に大きな影響を与えるであろう.また,国民の収入とてんかん発生には緩やかな相関が認められ,高収入国家ではその頻度が少ないことも示されている(交互作用 p=0.07).
本文中では,日本に近いWHO南・東アジア圏(SEARーWHO)では手術適応患者が現在233万人おり,毎年27万人が新たに登場することが示されている.
日本では年間必要手術数3,000人に対して実際に実施されている手術数はその2割程度と推測されているが(文献3),SEAR圏でのギャップはさらに大きい,日本のてんかん外科医が自らのギャップと同時にSEAR圏でのギャップを埋める努力に協力すべき時だと感じる.
なお,本論文でいうactive epilepsyとは過去10年間のうち,抗けいれん剤を服用しながら,少なくとも1回以上の非誘発性けいれんがあった者としている.

執筆者: 

細山浩史   

監修者: 

有田和徳

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