脳卒中前向きレジストリーへの参加は脳卒中のケアのレベルを高める:米国Get With the Guidelines-Strokeへの参加施設と非参加施設の比較

公開日:

2018年10月29日  

最終更新日:

2018年10月30日

Participation in Get With the Guidelines-Stroke and Its Association With Quality of Care for Stroke.

Author:

Howard G  et al.

Affiliation:

Department of Biostatistics, School of Public Health, University of Alabama at Birmingham

⇒ PubMedで読む[PMID:30083763]

ジャーナル名:JAMA Neurol.
発行年月:2018 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

Get With the Guidelines-Stroke(脳卒中ガイドライン順守;GWGS)は米国の脳卒中前向きレジストリーで,既に2,000以上の施設が参加し,250万人以上が登録されている.このレジストリーへの参加によって,脳卒中に対する医療・ケアの質が高まることが報告されている(文献1,2).しかし,この改善が本当にGWGSレジストリーへの参加によるものなのか,GWGSレジストリーへ参加と無関係に一般的にガイドライン遵守率が高まったことによるものなのか,あるいは近年における脳卒中治療全体の向上を反映している(文献3)ものかは不明であった.本研究では,この点を明らかにするために,前向き登録研究であるReasons for Geographic and Racial Differences in Stroke(REGARDS)に登録された30,239人のうち,虚血性脳卒中で治療を受けた546人を対象に,GWGS参加病院で治療を受けた207人(36%)とGWGS非参加病院で治療を受けた339人を比較した.

【結論】

GWGS参加病院で治療を受けた患者は,虚血性脳卒中に対する治療でエビデンスが認められ推奨されている10項目の介入のうち5項目において,介入を受けた頻度が高かった.具体的には,tPAの使用(相対リスクRR,3.47;95% Cl 1.65〜8.50),脳卒中リスク因子の患者教育(RR,1.54;1.16〜2.05),嚥下機能評価(RR,1.25;1.04〜1.50),脂質代謝の評価(RR,1.18;1.05〜1.32),神経内科医による評価(RR,1.12;1.05〜1.20)であった.また,介入を受けた項目数はGWGS参加病院の患者ではGWGS非参加病院より有意に多かった(5.4 vs. 4.8,p<0.001).

【評価】

REGARDS(Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke:脳卒中における地理的・人種的な差の理由に関する調査)は人種,遺伝学的背景,居住地域,生活様式が脳卒中のリスクとどのように関係するか明らかにするために,黒人や女性を含む3万人以上の集団を追跡した住民ベースの登録研究である.対象とされた居住地域は脳卒中発生率が高いいわゆるStroke Belt含む東部・中部とカリフォルニアなどの諸州である.登録住民は半年に一回,定期的にフォローアップされている.当然,登録住民は,一定の頻度で脳卒中に罹患し,GWGS(Get With the Guidelines-Stroke)参加病院か非参加病院かどちらかで治療を受ける.2つの病院群を比較した結果,GWGS参加病院の方が,より高いレベルの脳卒中ケアを提供していたというのがこの論文の主旨である.問題点としては,GWGS参加病院はGWGS非参加病院に比較してベッド数が多く,日々の入院患者数が多く,レジデントを受け入れている教育病院という性質を有しており,医療機関の性質そのものが,脳卒中ケアに与えた影響が否定出来無いことを指摘出来る.
本研究対象の患者群の強みは,REGARDSによって長い間追跡され続けている住民集団であるため,患者背景が正確にわかっていることである.今回は,二つの病院群間で受けた治療の質に関する比較検討でとどまっているが,この研究の強みは,将来,治療結果を対象としたときに発揮されるものと思われる.

執筆者: 

橋本有華   

監修者: 

有田和徳

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