オシメルチニブは脳転移を伴うEGFR変異肺癌に対して第一世代TKI阻害剤より有効:FLAURA試験サブ解析

公開日:

2018年11月27日  

最終更新日:

2018年11月28日

CNS Response to Osimertinib Versus Standard Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitors in Patients With Untreated EGFR-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer.

Author:

Reungwetwattana T  et al.

Affiliation:

Ramathibodi Hospital, Mahidol University, Bangkok, Thailand

⇒ PubMedで読む[PMID:30153097]

ジャーナル名:J Clin Oncol.
発行年月:2018 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

オシメルチニブは第一世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に対して抵抗性を示すEGFR T790M 変異陽性非小細胞肺癌への有効性が示されており,既にEGFR T790M変異陽性肺癌を対象に承認が得られていた.しかしT790Mが発現する前のEGFR変異肺癌対する有効性の検討は行われていなかった.FLAURA試験は,治療歴のない局所進行あるいは転移性のEGFR遺伝子変異陽性肺癌に対する治療の有効性をオシメルチニブと第一世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ,エルロチニブ)との間で比較した国際多施設(29カ国)RCTである(N=556)(文献1).本論文はFLAURA試験対象例のうち頭蓋内転移を有する症例に対するサブ解析の結果である.

【結論】

全556例中200例に治療前の頭部スキャンが施行され,128例で無症候性かあるいは症状の安定した中枢性(CNS)病変が陽性であり(オシメルチニブ群61例,第一世代EGFR-TKI群67例),このうち,41例に少なくとも1個の測定可能病変(径>10mm)があった.CNS病変に関するPFS中央値はオシメルチニブ群で未達,第一世代EGFR-TKIで13.9ヵ月であった(ハザード比,0.48;p=0.014 ).オシメルチニブ群と第一世代EGFR-TKI群における腫瘍の客観的反応(PR+CR)は,CNS病変陽性例全体では,66%と43%(オッズ比 2.5;p=0.011)であり,測定可能病変があった症例では,91%と68%であった(オッズ比 4.6;p=0.066).

【評価】

EGFR遺伝子変異は非小細胞肺癌のうちアジア人では約50%で認められ,EGFR-TKIによる治療が高い有効性を示す.しかし1.5年で約60%の患者においてEGFR T790M変異が生じ,その結果第1世代のEGFR-TKIに対する耐性が生じることが明らかになっている.オシメルチニブは第3世代EGFR-TKIで,EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両者を阻害するように設計されており,本邦では,T790M変異陽性非小細胞肺がん治療薬として2016年3月に製造販売が承認されている.
EGFR遺伝子変異陽性進行性肺癌に対するオシメルチニブと第1世代EGFR-TKIの効果を比較したFLAURA試験では,オシメルチニブ群ではPFS中央値18.9ヵ月で,第1世代EGFR-TKIの10.2ヵ月と比較して有意な延長効果を示した(文献1).このFLAURA試験の結果を受け,本邦でも,オシメルチニブは,T790M耐性変異の有無の確認によらず,EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌全体を適応症とすることが2018年8月に承認された.
EGFR変異陽性進行性肺癌の約25%では診断時に脳転移が発見され,診断後2年で38%に達するが(文献2),従来のEGFR-TKIの頭蓋内転移に対する効果は限られており,脳はある種の“聖域”であった.このため,頭蓋内病変を伴うEGFR変異陽性肺癌に対する有効な治療薬の登場が待ち望まれていたが,本研究では,第一世代EGFR-TKIに比較してオシメルチニブ群が中枢性病変に関するPFSが長く,中枢性病変の客観的反応性が高かった.また,中枢性病変の進行の可能性は常にオシメルチニブ群で低かった.さらに,オシメルチニブ群では,髄膜播種が疑われた5例中の4例でCRが得られている.
カニクイザルを用いた実験でも,オシメルチニブがゲフィチニブよりはるかに高い脳移行性を示している(文献3).
今後,頭蓋内転移を有するEGFR変異陽性肺癌にはオシメルチニブが第1選択になる可能性がある.
しかし,転移性脳腫瘍に対するSRS(定位脳手術)の有用性も高く,①SRS後EGFR-TKI群(98%がエルロチニブ),②WBR後EGFR-TKI群,③EGFR-TKI後,頭蓋内腫瘍の進行時にSRSかWBRの3群を比較した観察研究では,①SRS後EGFR-TKI群が最もOSが長いという結果が得られている(文献4).オシメルチニブではどうなのか,またSRSをどの段階で使用すべきか,今後検討されなければならない.PD-1阻害剤のペムブロリズマブとの併用や使用タイミングも今後の課題である.
また,オシメルチニブにも対しても薬剤耐性が生じ,その原因としてはEGFR遺伝子への更なる薬剤耐性変異(C797Sの挿入)やc-Metの増幅が報告されているが,これらに対するいわば第4世代のEGRF-TKIの開発も進行中である(文献5).

執筆者: 

有田和徳

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