腰椎椎間板ヘルニア,腰痛は細菌感染が原因か?

公開日:

2019年10月7日  

最終更新日:

2019年10月9日

Bacteria: back pain, leg pain and Modic sign-a surgical multicentre comparative study.

Author:

Fritzell P  et al.

Affiliation:

Futurum Academy, Länssjukhuset Ryhov, Jönköping, Sweden

⇒ PubMedで読む[PMID:31576463]

ジャーナル名:Eur Spine J.
発行年月:2019 Oct
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

疼痛を伴う腰椎椎間板変性の患者の椎間板にcutibacterium acnesが見つかるという報告があり,MRIにおける椎間板変性,椎体変性所見(Modic change)との関連も報告されている.また,これを受けて,腰痛,下肢痛に対する抗菌剤の使用も提唱されている.今回は腰痛,下肢痛を伴う腰椎ヘルニア(Lumbar disc herniation:LDH群,40例)と対照群として椎間板変性や疼痛のない若年脊椎側湾症(Scoliosis:S群,20例)の手術で得られたサンプルにCAが認められるかを検討した.サンプルは皮膚,手術創部,椎間板,椎体(骨)の4箇所から採取した.

【結論】

上記4箇所のサンプルのいずれにおいても菌の発育がなかったのはLDH群15%,S群15%であった.4サンプルのうち一つでも菌発育が認められたのはLDH,S群それぞれ72%,70%であり,菌発育が認められたサンプルは主に皮膚,皮下,創内部からの採取であった.椎体,椎間板のみから菌の発育を認めたのはLDH,S群それぞれ1例のみであった.DNA解析では,椎体,椎間板から採取したサンプルで98%はDNA陰性であった.なおCAとModic changeとの関連は認められなかった.CAの存在は術中の汚染が原因である可能性が示唆された.

【評価】

Cutibacterium acnes(あるいはpropionibacterium acnes)はグラム陽性の皮膚常在菌で嫌気性環境を好む.ニキビ(尋常性ざ瘡)の原因菌として知られるが,その他にも感染性心内膜症,角膜感染,水頭症シャントや人工関節,人工弁など手術材料への感染,サルコイドーシスのリンパ節から検出されたという報告もある.2001年頃から腰椎椎間板ヘルニアのような痛みを伴う椎間板変性にCAによるlow-grade infectionが関与しているという報告が始まり(文献1),その後も様々な研究が報告されている.今回のスタディはCAと椎間板障害との間の関連を否定する内容であったが,その関与に肯定的な研究や(文献2),頚椎椎間板障害との関連を示唆する報告(文献3)もあり,最終結論にはまだ達していない印象である.

執筆者: 

山口智

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