膠芽腫に対するベバシズマブ投与中の高血圧と蛋白尿の発生は効果予測のバイオマーカーである

公開日:

2020年3月24日  

最終更新日:

2020年3月25日

Hypertension and Proteinuria as Clinical Biomarkers of Response to Bevacizumab in Glioblastoma Patients.

Author:

Carvalho B  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Centro Hospitalar, Universitário S. João, Porto, Portugal

⇒ PubMedで読む[PMID:31974803]

ジャーナル名:J Neurooncol
発行年月:2020 Mar
巻数:147 (1)
開始ページ:109

【背景】

膠芽腫に対するベバシズマブ投与によるOSの延長効果は不定されているが,PFSの延長効果は認められており(文献1,2),患者のADLに与える寄与は大きい.しかし,効果予測因子は充分に明らかになっていない.ポルトガルのS. João大学のチームは2010~2017年にかけて,膠芽腫に対する第二選択療法としてベバシズマブ投与が行われた140例を対象に,一般的な治療関連副作用として報告されている高血圧,蛋白尿,塞栓・出血性合併症とPFS/OSとの関係を求めた.

【結論】

ベバシズマブ投与中の新規高血圧と新規蛋白尿は23例(16.3%)と17例(12.1%)で認められた.ベバシズマブ投与患者におけるPFSは,高血圧群は12ヵ月(95% CI 7.9~16.1)で,正常血圧群4ヵ月(95% CI 3.2~4.8)に比較して有意に延長していた(p=0.005).蛋白尿群のPFSは10ヵ月(95% CI 4.9~15.0)で,非蛋白尿群の4ヵ月(95% CI 3.4~4.8)に比較して有意に延長していた(p=0.002).多変量解析では高血圧と蛋白尿はPFSとOSの独立した予測因子であった.

【評価】

これまでも,種々の悪性腫瘍患者に対するベバシズマブ投与では有害事象の出現は治療効果予測因子であることが報告されており(文献3),再発膠芽腫に対するベバシズマブ投与でも同様の報告がある(文献4,5).
本報告によれば,高血圧と蛋白尿はベバシズマブ投与開始後15週と18週で発生した(中央値).その他の,治療関連有害事象としては深部静脈血栓症5例,肺塞栓1例,創治癒問題4例,非症候性頭蓋内出血1例,消化管穿孔1例,心不全1例であった.多変量解析では高血圧と蛋白尿はPFSとOSの独立した予測因子であったが,年齢,性,ECOG,手術の方法,単発あるいは多発は治療効果と関係はなかった.本報告は,140例という,これまでより多くの患者で検討を行った結果,改めて治療中の高血圧がベバシズマブ治療の効果予測因子であることを明らかにした.
この理由は何か,著者らは,ベバシズマブは血管構造の正常化とともに毛細血管の希薄化(減少)をもたらす,このことが,腫瘍への血流遮断と同時に高血圧をもたらすのかも知れない(文献3)と推測している.
一方,蛋白尿はどうか.蛋白尿については,効果予測因子であるという報告とそれを否定する報告があり,また,効果との相関のメカニズムについても全く不明である.
興味深いのは,高血圧と蛋白尿を共に示した症例では,PFS 16ヵ月,OS 32ヵ月と,単独陽性群よりさらに延長していたことである.
本研究の問題点として,IDH1/2変異やMGMTプロモーターメチレーションなど,ベバシズマブの効果に影響を与える可能性がある分子遺伝学的な因子の検討が行われていない点が上げられる.今後,これらの因子を含めた,より多数での前向き研究が必要である.一方で,少なくとも現段階では,高血圧あるいは蛋白尿がいずれもない患者では,治療抵抗性であることを考慮しながら患者管理をしなければならないのかも知れない.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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