びまん性橋神経膠腫患者には静脈血管腫(DVA)が多い

公開日:

2020年3月24日  

最終更新日:

2020年3月25日

High Prevalence of Developmental Venous Anomaly in Diffuse Intrinsic Pontine Gliomas: A Pediatric Control Study

Author:

Roux A  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Sainte-Anne Hospital, Paris, France

⇒ PubMedで読む[PMID:31342064]

ジャーナル名:Neurosurgery
発行年月:2020 Apr
巻数:86 (4)
開始ページ:517

【背景】

びまん性橋神経膠腫(Diffuse Intrinsic Pontine Glioma:DIPG)は小児の脳幹部に発生する予後不良な腫瘍で,histone H3のK27M遺伝子変異を背景として発生する.パリ大学サンタンヌ病院のRouxらは,DIPG患者における静脈血管腫(developmental venous anomaly:DVA)の併存に注目し,小児頭蓋咽頭腫症例と比較した.症例数はDIPG162例,頭蓋咽頭腫142例.DVAは全例の3D造影T1MRIを改めて読影した上で診断した.

【結論】

DVAの有病率はDIPG症例で24.1%,頭蓋咽頭腫症例で10.6%と有意差があった(p=0.001).DVAが腫瘍内にあったのは1例のみであった.性,診断時年齢,病理像,遺伝子異常(H3-K27M,H3.1-K27M,H3.3-K27M),画像所見(部位,進展方向,左右,閉塞性水頭症の有無)とDVAの発生頻度に相関はなかった.

【評価】

DVAは小児の10%前後で発見されるありふれた血管奇形であり,正常変異といっても良い(文献1).
成人のdiffuse glioma患者でのDVAの頻度(21.5~23.5%)は,一般人口(0.7~6.4%)や他の脳腫瘍(5.2%)に比較して高いことが既に報告されている(文献2).一方,Jonesらは,小児脳腫瘍全体でもDVAの有病率が,対照群に比較して高いことを報告している(10.2% vs. 5.3%)(文献3)が,本報告に比較すればその頻度は患者群,対照群とも低い.Jonesらの研究におけるDVAの診断は,放射線レポートに基づいており,多くの見逃し症例の可能性がある.一方,本研究では,全てのMR画像をDVA検出のために改めて見直しているので,見落としの可能性は少ないという.
疫学的には極めて稀な疾患であるDIPGとありふれた正常変異であるDVAに何らか共通の背景因子があるのか,大変興味深い.
また一般にはDVAの1/3に海綿状血管腫を伴うが,このシリーズで海綿状血管腫を伴うものは無かったという点も注目に値する.著者らは,ハイグレードグリオーマの27%に認められるPI3KCA変異(文献4)が静脈性血管奇形の発生にも関与する点(文献5)に注目している.今後検討すべき課題である.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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