機械的血栓除去術が不首尾に終わった急性期脳主幹動脈閉塞にウロキナナーゼの動注は効くか

公開日:

2020年5月23日  

最終更新日:

2020年5月23日

Safety and Efficacy of Intra-arterial Urokinase After Failed, Unsuccessful, or Incomplete Mechanical Thrombectomy in Anterior Circulation Large-Vessel Occlusion Stroke

Author:

Kaesmacher J  et al.

Affiliation:

Institute of Diagnostic and Interventional Neuroradiology, University Hospital Bern, Inselspital, University of Bern, Bern, Switzerland

⇒ PubMedで読む[PMID:31816018]

ジャーナル名:JAMA Neurol.
発行年月:2019 Dec
巻数:77(3)
開始ページ:318

【背景】

本研究は,機械的血栓除去術(MT)が不首尾に終わった急性期脳梗塞に対するウロキナーゼ(UK)動注の意義について,ベルン脳卒中登録を基に後方視的に検討したものである.2010~2017年に,前方循環系急性期閉塞に対してMTが施行された993例中,100例に対して,MTの直後あるいは途中で,中央値30万単位のUKが同じカテーテルから45~60分かけて動脈内注入された.UK動注の理由は①TICI 0か1:15例,②TICI 2aか2b:53例,③血栓除去を促進する術者の意図でMTの途中で使用された:25例,④MTの対象以外の血管の閉塞:7例.

【結論】

患者のベースラインの条件の相違を調整した後,症候性頭蓋内出血(5.2%vs 6.9%,aOR:0.81;95%CI,0.31~2.13)と死亡(aOR,0.78;0.43~1.40)に差はなかった.TICI 2a~2bの53例では,32例(60.4%)では早期に灌流の改善が,18例(34.0%)ではTICIグレードの改善が認められた.UK動注を選択せざるを得なかった選択バイアスを調整した後の機能予後良好(mRS:0~2)はUK動注群で有意に高かった(aOR:1.93:1.11~3.37).

【評価】

著者等はこの結果から,機械的血栓除去(MT)術後のUK投与は安全であり,その効果に関しては今後,多施設での前向き登録やRCTによって検証するべきであると述べている.確かに機械的血栓除去後にTICI 2にとどまっている症例を対象としたRCTで有意差が出そうな気もする.
少し心配なのは,機械的血栓除去前にtPAが使用された患者においてUK動注によって頭蓋内出血が増える可能性であるが,UK動注群100例中42例(42%),UK動注なし群893例中368例(41.2%)でtPAが使用されていたが,症候性頭蓋内出血の頻度は変わらなかった(2.4% vs 7.3%,P=0.33).
ウロキナーゼを用いた経動脈的局所血栓溶解療法に関しては,本邦のMELTスタディーなど複数のRCTが実施され(文献1,2,3),メタアナリシスでも急性期中大脳動脈塞栓性閉塞例に対する経動脈的局所ウロキナーゼ注入群は,3か月後転帰は対照群に比較して良好で,死亡は対照群と同等との結果であった(文献4).ただし,現在は,発症4.5時間以内に薬剤投与が可能な患者に対しては,tPA静注療法が第一選択となっている.
現段階では,tPA→機械的血栓除でTICI3が得られていないケースに対して,ヘパリン加生食をガイディングカテーテルから動注している施設もあるようだが,決定打ではない.今後のRCTの結果次第では,tPA→機械的血栓除去→ウロキナーゼ局所注入という流れが出来るのかも知れない.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

岐浦禎展

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