初発膠芽腫に対する神経前駆細胞ニッチ(海馬,脳室下帯)を回避した放射線照射は認知機能低下を予防出来るか

公開日:

2020年7月2日  

最終更新日:

2020年8月19日

【背景】

神経前駆細胞は膠芽腫の発生にかかわっており,また神経損傷修復に関与するとみられる.したがって,神経前駆細胞ニッチ(niche)である海馬(歯状核)と脳室下帯(SVZ)に対する照射は,膠芽腫患者の生存を延長するが,認知機能の低下をもたらす可能性がある(文献1,2).ジョンスホプキンス大学のチームは,腫瘍本体への照射線量を落とすことなく,神経前駆細胞ニッチへの線量を出来るだけ抑えた照射がPFS,OS,認知機能におよぼす影響を検討した(前向き登録研究).照射はテモゾロミド併用拡大局所照射(60Gy,30分割).ニッチの防御範囲は海馬+5 mmの範囲と脳室壁から脳側5 mm(脳室下帯)の範囲とした.