睡眠に占めるREM睡眠期の割合が大きいと長生き出来る:中高年での検討

公開日:

2020年7月23日  

最終更新日:

2020年7月23日

Association of Rapid Eye Movement Sleep With Mortality in Middle-aged and Older Adults

Author:

Leary EB  et al.

Affiliation:

Stanford University, Palo Alto, California, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:32628261]

ジャーナル名:JAMA Neurol.
発行年月:2020 Jul
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

睡眠と健康の関係はこれまでも深く研究されてきており,特にREM睡眠時間の短縮が精神的あるいは肉体的に低い健康レベルと相関していることが報告されている(文献1,2,3).一方,REM睡眠時間と死亡率の関係については充分な検討はない.スタンフォード大学など米国6大学のチームは,睡眠と疾患に関する2つの地域住民コホート(MrOSとWSC[ウィスコンシン睡眠コホート])を用いて睡眠と死亡の関係について検討した.MrOSコホートは高齢男性のみの地域住民2675名(平均年齢76.3歳).WSCコホートは女性を含むより若い地域住民1386名(平均年齢51.5歳).

【結論】

MrOSコホートでは,年齢,全睡眠時間,健康関連因子を調整後の検討で,REM睡眠時間の割合が5%低下する毎に全死亡率は13%ずつ上昇した.心血管死や他の原因による死亡も同様であった.担癌患者のうちREM睡眠割合が15%以下の患者では,15%以上の患者に比較してオッズ比1.20~1.35で死亡率が高まった.
以上の結果は,WSCコホートでも再現可能であった.
Random forest modelでは,4つの睡眠ステージ(N1,N2,N3,REM)のうちREM睡眠の割合が生存と関連する最も重要な睡眠ステージであった.

【評価】

従来から,睡眠障害が,心血管疾患,代謝障害,精神症状,認知障害,QOL,全死亡と相関することが示唆されていた.しかし,REM睡眠を含む睡眠のステージとこれらの臨床諸指標の関係についての検討は少ない(文献4).本研究では睡眠ポリグラフィーと簡易睡眠・覚醒モニター(Actigraphy)を用いて睡眠時間,各睡眠ステージの割合などを客観的に評価した.
レム睡眠は睡眠状態のひとつで,身体は骨格筋が弛緩して休息状態にあるが,脳が活動して覚醒状態にある.脳波上はStage Iに似た比較的低振幅の各周波数が混合した脳波と,主に水平方向の急速眼球運動(rapid eye movement:REM)がみられる.
本研究の結果,睡眠全体に占めるREM睡眠の割合の低下は,全生存,心血管死,その他の原因による死亡の上昇と相関した.
一方,従来報告されているメタアナリシスによれば,睡眠時間が7時間より長くても短くても,全死亡や心血管イベントによる死亡は増加している(文献5).その他,睡眠潜時(睡眠に至るまでの時間),睡眠効率(睡眠時間/ベッド上の時間),睡眠リズムなどが全死亡と関係しているという報告もあり,睡眠時間,睡眠の深さ,睡眠サイクルなどの諸指標と健康関連諸指標との関係は多様である.
また,もしかすると今回示されたレム睡眠割合の低下と全死亡率増加の相関は,単純に加齢を反映しているだけかも知れない.これが因果関係であると言うためには,死亡の背景因子を含む未だ未だ多くの臨床研究が必要である.

執筆者: 

岡田朋久   

監修者: 

有田和徳

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