眼窩前頭皮質(OFC)てんかんは2型に分けられる:症状,PET,ステレオ脳波,神経ネットワークの違い

公開日:

2020年9月16日  

最終更新日:

2020年9月28日

Orbitofrontal epilepsy: distinct neuronal networks underlying electroclinical subtypes and surgical outcomes

Author:

Zhao B  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery, Beijing Tiantan Hospital, Beijing, China

⇒ PubMedで読む[PMID:32823264]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2020 Aug
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

前頭葉てんかんは部分てんかんの20~30%を占める.その中の前頭眼窩皮質(OFC)てんかん(OFE)は稀であり,症状が多彩で,焦点が深部であることなどにより焦点同定は決して容易ではない.北京天壇病院のZhaoらは,自験のOFE手術連続27例の症候,MRI画像,健常者と比較したFDG-PET解析(23例で実施),SEEGなどを検討してその類型分けを試みた.病理学的には皮質形成異常症18例,DNT2例,海綿状血管腫3例,グリオーシス3例,非特異的所見1例であった.頭皮脳波やMRIでは概して決定的な所見は得られなかった.

【結論】

症状は前頭葉群(過運動自動症,興奮性運動)14例,側頭葉群(口・手自動症)11例,その他2例に分けられた.FDG-PET解析において,前頭葉群+側頭葉群23例あるいは前頭葉群14例では同側のOFC,帯状回前部(ACC),島前部(AI)に低代謝域が認められたが,側頭葉群9例では,低代謝域がOFCとAIのみに認められた.発作中のSEEGエネルギー比(ER)は,前頭葉群では扁桃体よりACCで高く,側頭葉群でACCより扁桃体で高かった.これらの所見をもとに51.9%の患者でOFCだけの切除が,その他にはAI,ACC,扁桃体,海馬の切除が追加された.手術後1年間のけいれん消失は19例(70.4%)で得られた.

【評価】

一般的に前頭眼窩皮質てんかんでは焦点の検索は困難である.その理由は前頭眼窩皮質が他の脳領域と多彩なネットワークを形成していること(文献1,2),前頭眼窩皮質は頭蓋底部に存在するために頭皮電極脳波での評価が困難なこと,前頭眼窩皮質の脳溝は密に集中し走行も個人差が大きいこと,前頭葉下面は副鼻腔の空気によるMRI上のアーチファクトが生じやすいことが挙げられる(文献3).本シリーズでも44.4%はMRI陰性であった.
本論文の著者らは,全例で詳細な症候学的評価,96.2%でFDG-PET,74.1%でSEEG(stereo-EEG)を実施し発作中のエネルギー解析(ER)を行い,それらの所見をもとに約半数で前頭眼窩皮質を超えた脳領域(帯状回前部,島前部,扁桃体,海馬)の摘出を行っている.その結果,EngelクラスIa:70.4%,クラスII:14.8%という優れた手術成績を上げている.
しかし,本文中でも具体的にどの所見を根拠にどこを追加切除したかが示されていないし,切除範囲も明示されていない.さらにSEEGを実施しなかった25%の症例では切除範囲をどう決定したかも明確ではない.そうした意味で立派な手術成績は評価出来ても,てんかん外科医にとって,実際的なガイダンスになりにくい論文である.
一方確かに,過運動自動症,興奮性運動,口・手自動症いずれもOFEに特異的な症状ではないし,MRIもOFCの描出は信頼性に欠ける.頭皮脳波も脳磁図(MEG)も苦手な場所である.そうすると,OFE診断のとっかかりはPETが一番ということになる.前頭葉,側頭葉てんかんを疑わせる症状を呈する患者ではOFEの可能性も疑ってPET(FDG-あるいはmethionine-PET)を読むことが必要であるのかも知れない.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

飯田幸治

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