単純な5項目虚弱評価スコア(mFI-5)が脳腫瘍手術後の死亡率を予測する

公開日:

2020年9月16日  

最終更新日:

2020年9月16日

The 5-factor modified frailty index: an effective predictor of mortality in brain tumor patients

Author:

Khalafallah AM  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, Maryland

⇒ PubMedで読む[PMID:32796147]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2020 Aug
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

高齢者や癌患者などの虚弱(frailty)の評価には19項目からなるチャールソン併存疾患指数(CCI)や11項目インデックス(mFI-11)が用いられてきたが,大量のデータが必要で,評価項目のオーバーラップも多い.最近,より簡潔な5項目インデックス(mFI-5)が登場し,一般外科や整形外科などで普及しつつあるが(文献1,2,3),脳腫瘍手術での有用性に関しては評価されていない.ジョンズ・ホプキンズ大学脳外科チームはCCI,mFI-11,mFI-5の3つを用いて患者の術前状態を評価し,手術後死亡率との相関を求めた.対象は2017年1月からの2年間に脳腫瘍の手術が実施された1692例で,平均55歳.

【結論】

mFI-11とmFI-5の1ポイント上昇は手術後90日目の死亡の独立した予測因子であった(OR 4.19と2.56).腫瘍の種類,年齢などを調整後のCCI,mFI-11,mFI-5のROCカーブのC統計量(=AUC)は0.86,0.87,0.87と高く,CCIとmFI-5モデル間,mFI-11とmFI-5モデル間にC統計量の差はなかった.また,この3指標は良く相関した(p<0.01).
わずか5項目のスコア(0~5)だけで構成されるmFI-5はCCIやmFI-11と同様の精度で手術後死亡を予測できており,ルーチンのワークフローに組み入れることが出来る有用なfrailty指標である.

【評価】

実際のmFI-5は,身体機能(日常生活に介助が必要:1,必要ない:0),糖尿病(有り:1,なし:0),慢性閉塞性肺疾患(COPD)(有り:1,なし:0),うっ血性心不全(有り:1,なし:0),高血圧(有り:1,なし:0)の5項目だけからなる単純なスコア(0~5)である.
一方,チャールソン併存疾患指数の評価項目は19個でそれぞれに0~6点が付与されている複雑なスコア(0~37)である.mFI-11では評価項目は少なくなっているが,それでも11の評価項目からなるスコア(0~11)である.
本研究はこれら3種類のfrailtyスコアを脳腫瘍患者に適用して比較したものである.当然ながら手術後90日の死亡率は年齢,腫瘍の種類(良性,悪性,転移性等)などによって大きく左右されるので,年齢,性,人種,民族,結婚歴,腫瘍の種類を調整したROC解析を行ったところ,3つの指標のC統計量(AUC)は何れも0.86~0.87で,高い精度で手術後90日の死亡を予測し,相互の相関性も高かった.それならば,多忙な実臨床現場では,より使いやすく単純なmFI-5を使用したらどうですかというのが著者らの主張である.
ちなみに調整前のROC解析では,mFI-5のAUCは0.61であった.実際には,mFI-5スコア0では術後90日の死亡率は2.1%で,スコア1~5では4.8%であった.
今後,mFI-5は手術の安全性(死亡率)の予測や施設間での安全性の比較に用いることが出来そうである.ただし,年齢や腫瘍の種類は当然考慮に入れなければならない.

執筆者: 

有田和徳

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