Spetzler-Martin Grade IとIIのAVMには定位放射線治療が良いかも:AVM 1102例のシステマティックレビュー

公開日:

2020年9月23日  

最終更新日:

2020年9月28日

Stereotactic Radiosurgery for Spetzler-Martin Grade I and II Arteriovenous Malformations: International Society of Stereotactic Radiosurgery (ISRS) Practice Guideline

Author:

Graffeo CS  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, Mayo Clinic, Rochester, MN, USA.

⇒ PubMedで読む[PMID:32065836]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2020 Sep
巻数:87(3)
開始ページ:442

【背景】

脳動静脈奇形(AVM)の年間破裂率は2~4%であるが(文献1),至適治療に関しては未だ多くの議論がなされているところである.本稿は低グレードAVM(Spetzler-Martin[SM]グレードIとII)を対象とした定位放射線治療のシステマティックレビューである.8報1102例のAVMが検討対象となった.このうちグレードIIは836例(76%)であった.

【結論】

レビューの対象とした報告はそれぞれの解析手法に差が大きく,メタアナリシスはできなかった.
定位放射線治療後の追跡期間中央値37ヵ月でAVMの閉塞は884例(80%)で得られた.追跡期間中央値68ヵ月でAVMからの出血は66個(6%)起こった.出血なしでのAVM完全閉塞は78%で得られた.有害事象は死亡8例(<1%),放射線誘発合併症47例(3%)であった.
SMグレードを構成するパラメターが記載されているのは680例で,うち377例はeloquent領域,178例は深部静脈還流であり,合わせて555例(82%)がハイリスクAVMであった.

【評価】

著者等は慎重な言い回しで,定位放射線治療は安全で効果的な治療法として,グレード I~IIのうち深部あるいはeloquent領域に存在するAVMに対する初回治療として考えて良いかも知れないと結んでいる.
一方現在,SMグレードI~IIのAVMに対しては摘出手術を推奨するというコンセプトが広く受け入れられている(文献2,3).しかし,従来の報告は,グレードI~IIのうち治療しやすいAVMが手術され,摘出手術のリスクの高いものが定位放射線治療に回っているというセレクションバイアスの影響を受けている可能性が高い.すなわち,グレードIIでもAVM径が3~6cmではあるが,eloquent領域にはなく,深部静脈還流を示さないものを選んで摘出手術を実施した結果,手術群で優れた成績が得られている可能性があるという(文献2).
未破裂のAVMに対するこれまでで唯一のRCTであるARUBA研究は,侵襲的治療に対して内科治療単独群の方が,平均33ヵ月と50ヵ月の追跡期間で,一次エンドポイント(死亡か症候性脳卒中イベント)が低いことを明らかにしている(文献4,5).ARUBA研究の対象にはSMグレード I~II の126症例が含まれているが,SMグレード毎の治療結果は示されていないので,本レビューにも採用出来ていない.このARUBA研究に対しては様々な立場からの批判も多く,現在は新しいRCT(TOBAS)が進行中である(文献6).
その後,ARUBA研究対象に該当する症例に対する定位放射線治療の成績が報告されているが(文献7,8),これらによれば,定位放射線治療を受けた患者では,ARUBA研究の内科治療単独群に匹敵する低いイベント(AVMからの出血など)発生率でありながら,7割以上の患者でAVMの閉塞が得られている.
未破裂の低グレードAVMに対する至適治療は何か,塞栓術の位置づけも含めて,現在進行中のRCT(TOBAS)で明らかになることを期待したい(文献6).

執筆者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する