発症時間不明の脳梗塞に対する最新画像診断に基づくtPAの投与は有効か:843例のメタアナリシス

公開日:

2020年11月22日  

Intravenous alteplase for stroke with unknown time of onset guided by advanced imaging: systematic review and meta-analysis of individual patient data

Author:

Thomalla G  et al.

Affiliation:

Klinik und Poliklinik für Neurologie, Kopf- und Neurozentrum, Universitätsklinikum Hamburg-Eppendorf, Hamburg, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:33176180]

ジャーナル名:Lancet.
発行年月:2020 Nov
巻数:396(10262)
開始ページ:1574

【背景】

発症時間が不明の脳梗塞に対する最新画像所見に基づくtPA投与は有効か.ハンブルグ大学のThomallaらは灌流MRI-DWIミスマッチ,灌流CT,DWI-FLAIRミスマッチに基づき,tPA(アルテプラーゼ)投与か対照治療(偽薬投与か標準治療)が実施された既報の4個のRCT(WAKE-UP,EXTEND,THAWS[日本],ECASS-4)の個人データを基にメタアナリシスを行った.患者数は843例(tPA429例,対照治療414例).一次アウトカムは90日目の機能予後(mRS)とした.発症時間不明の理由は9割が睡眠中のためで,最終健常確認から症状確認までは中央値7時間(5~9時間).

【結論】

症状確認から治療(tPAあるいは対照)までは中央値約3.3時間.
mRSは対照群に比較してtPA群で良好の方向に有意にシフトしていた(調整オッズ1.50;p=0.019).機能予後良好(mRS:0~1)はtPA群の47%,対照群の39%で認められ(オッズ1.49;p=0.011),試験間の不均一性は低かった(I²=27%).
死亡か機能予後不良(mRS:4~6)はtPA群の21%,対照群の25%で認められた(調整オッズ0.76;p=0.011).症候性頭蓋内出血の頻度はtPA群で高かった(3% vs 0.5%,調整オッズ5.58;p=0.024).

【評価】

本メタアナリシスは,既報の4個のRCTを基に,発症時間不明の急性期脳梗塞でDWI-FLAIRミスマッチや灌流ミスマッチ領域,すなわち充分な広さのペナンブラ領域を有する患者に対するtPA投与が機能予後を改善することを改めて明瞭に示した(1aエビデンス).
しかし,症候性頭蓋内出血(上記)や90日までの死亡の頻度(6% vs 3%,調整オッズ2.06;p=0.040)が対照群に比較して増加することには注意が必要であり,重要な患者説明事項と思われる.ただし,tPA群での27例の死亡患者のうち7例(26%)だけが頭蓋内出血に関連しており,他の21例は中枢神経障害と関係はなかったという.
ちなみに,このメタアナリシスの対象に採用されたTHAWS試験は国立循環器病研究センターなど日本国内40施設が参加したオープンラベルRCTである(文献3).発症時刻が不明の脳梗塞患者を対象にtPA群と標準内科治療群に無作為割り付けした.tPAの投与量は欧米の0.9 mg/kgではなく日本での使用量である0.6 mg/kgとしていた.THAWS試験は300例を目標としていたが,類似のプロトコールで先行していたWAKE-UP試験での有効性の報告を受けて(文献1),2018年7月に,登録症例131例(tPA71例,対照60例)の段階で新規登録が中止となっている.131例での解析では,tPA群と対照群間で有効性と安全性に差は認められていない.
THAWS試験がtPA群の有効性を示し得なかった理由に関して,同試験実施者らは試験期間中に脳主幹動脈閉塞による脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性が確立したため,脳主幹動脈閉塞の患者の登録がほとんどなかったこと,オープンラベル試験であったため結果的に標準内科治療群(対照群)割り付け患者に対して登録直後から積極的な抗血栓療法が行われたことをあげている(文献5).

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

神田直昭

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