重症の単独性頭部外傷に対するトラネキサム酸の病院前投与は30日死亡率を高める

公開日:

2021年2月3日  

最終更新日:

2021年3月5日

【背景】

2010年に発表されたCRASH-2トライアルでは,頭部以外の重症出血を伴う外傷患者において,受傷後3時間以内のトラネキサム酸(TXA)の投与が,全死亡率と出血死を低下させることが示されているが(文献1),外傷性脳損傷(TBI)患者でのベネフィットに関してはエビデンスが一貫していない.アムステルダム自由大学のBossersらは,同国の頭部外傷患者病院前レジストリー(BRAIN-PROTECT)研究のデータベースから,重症TBI(GCS:3~8)患者に対する病院前(ヘリ搬送中)のTXA投与と30日死亡率の関連を検討した.TXA投与群693例,非投与群1,134例.