Koos grade IVの大型前庭神経鞘腫に対するガンマナイフ

公開日:

2021年4月12日  

最終更新日:

2021年4月12日

Stereotactic radiosurgery as the primary management for patients with Koos grade IV vestibular schwannomas

Author:

Ogino A  et al.

Affiliation:

Departments of Neurological Surgery and Radiation Oncology, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, Pennsylvania, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:33578383]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2021 Feb
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

ピッツバーグ大学脳外科のチームはKoosグレードIVの大型前庭神経鞘腫に対しても,症例を選んで最初からガンマナイフ治療を行ってきており,本研究ではその有効性とリスクを明らかにした.対象は1987年から30年間にガンマナイフ治療を実施した以前に治療歴のない170例(男性93例,年齢中央値61歳,NF2を含まない)のグレードIVの前庭神経鞘腫.体積中央値7.4 cm3(5~30).内耳道外の腫瘍最大径中央値は27.5 mm.62例が実用聴力残存.腫瘍辺縁線量中央値12.5 Gy.

【結論】

追跡期間中央値5.1年で,辺縁線量12 Gy以上の症例ではPFSは3年98.4%,10年90.7%.対照的に12 Gy以下では腫瘍制御率は3年,10年共に76.9%であった.実用聴力残存患者のうち聴力温存率は3年58.1%,7年35.9%.60歳以下と初期GRグレードⅠで聴力温存率は高かった.4%が顔面神経麻痺を呈した.辺縁線量13 Gy以下では顔面神経麻痺の出現可能性は10年後で1.1%であった.9%が三叉神経症状を呈し,5%がVPシャントを要し,4%が照射後に腫瘍切除術を要した.

【評価】

Koosグレードは前庭神経鞘腫を局在,大きさ,脳幹との関係で分類したもので,グレードIVは内耳道内を含む径が3 cm以上で脳幹への圧迫を認めるものと定義されている(文献1).
KoosグレードIVの大型前庭神経鞘腫に対しては,脳幹の浮腫や顔面神経に対する放射線障害を避けるために,手術で腫瘍体積を減じた後にガンマナイフ治療を行うのが一般的である(文献2,3).
これまでのグレードIVに対するガンマナイフ照射の報告では腫瘍制御率79-94%とされている.これらの報告には手術例,再発例を含むものもあったが,本研究はすべて未治療の腫瘍を対象として,辺縁線量,長期的な腫瘍の反応,神経障害,照射後腫瘍切除の必要性などを検討したものである.その結果15%以上の腫瘍体積の増大が無い状態と定義されたPFSは10年間で約90%で,顔面神経麻痺は4%,照射後に切除術を要したのは4%に留まった.この結果を受けて著者らは,高齢や種々の合併症のために手術リスクが高い患者では辺縁線量12~13 Gyのガンマナイフを初回手術に代わる代替として考えることが出来ると結論している.
問題点を挙げるとすれば,追跡期間が中央値5.1年と,対象が良性腫瘍であることを考慮すれば,まだ充分な期間ではないことが挙げられる.さらに長期のフォローアップデータで今回の結果が確認されることを期待したい.また,近年普及している寡分割ガンマナイフの治療結果がこの成績を上回るのかも興味深い(文献4,5).

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

八代一孝