一般の小児の頭部MRIにおける偶発所見の頻度:米国ABCD研究12,016人の3TMRI読影結果

公開日:

2021年4月27日  

最終更新日:

2021年4月27日

Rates of Incidental Findings in Brain Magnetic Resonance Imaging in Children

Author:

Li Y  et al.

Affiliation:

Department of Radiology and Biomedical Imaging, University of California, San Francisco

⇒ PubMedで読む[PMID:33749724]

ジャーナル名:JAMA Neurol.
発行年月:2021 Mar
巻数:e210306
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【背景】

本研究は小児の頭部MRIにおいて偶然に発見される所見(IF)の頻度を求めたものである.対象は米国21施設で実施されている青年期脳発達に関わる前向き研究(ABCD,文献1)の一般住民コホート12,016人(9~10歳).全員3TMRIが実施され,小児脳を専門とする神経放射線専門医によって読影され,偶発所見の種類とその推奨区分が決定された.所見なし(第1区分)は78.8%,所見あり(第2~4区分)は21.1%であった.所見ありのうち第2区分(臨床紹介を要さず)は17.2%,第3区分(臨床紹介を考慮すべき)は3.7%,第4区分(脳腫瘍の疑いなどで直ちに臨床紹介を考慮すべき)は0.2%であった.

【結論】

推奨区分に関わらずに偶発所見(%)を頻度順に並べると,松果体嚢胞(7.8),後頭蓋窩くも膜のう胞あるいは巨大大槽(1.9),developmental venous anomaly(1.9),非特異的白質病変(1.6),乳突胞巣内滲出(1.2),透明中隔腔(1.2),くも膜のう胞(1.1),脳室周囲異所性灰白質(0.9),小脳扁桃の下垂(0.4),脈絡裂のう胞(0.4),グリア系新生物疑い(0.3),その他13項目(いずれも0.3%以下)となっていた.

【評価】

一般の小児における頭部MRIでの偶発所見については,これまでの報告の対象人口が最大で約4,000人で(文献2),本研究はその3倍の対象人口である.既報の偶発所見の頻度は全体で8.9~25.6%で,追跡必要な偶発所見の頻度は0.43~12.5%と報告による差が大きい.最近のメタアナリシスでは一般の小児人口における頭部MRI偶発所見の頻度は16%で,経過観察を要するとされたものは2.6%であり(文献3),本研究での頻度はそれよりも少し高いが,3TMRIを使用していることがその背景にあるものと思われる.
本研究結果をまとめると一般の小児でMRIをとれば脳外科,神経内科などに臨床紹介を考慮すべき偶発所見は25人に1人くらいで,直ちに臨床紹介すべき偶発所見は500人に一人くらいの頻度で発見されるということになる.こうした数字は実際に小児のMRIを読影するときに役立つある種の“相場観”になるかも知れない.また,患者・家族説明にとっては重要な根拠となり得る.
このABCDコホートには2年に1回の追跡スキャンが行われる予定であり,今後,思春期後期,さらに成人期での変化も明らかにされることを期待したい.

執筆者: 

有田和徳