椎骨脳底動脈による三叉神経痛の26手術例:椎骨脳底動脈と完全に分離しなくても良い

公開日:

2021年5月23日  

最終更新日:

2022年2月10日

【背景】

三叉神経痛の原因血管は上小脳動脈が多いが,2~8%の頻度で椎骨脳底動脈(VBA)が関与する(文献1,2).その多くは強い動脈硬化を有しており,狭い術野とも相まって,その移動は困難で,合併症も多い(文献3,4).湖東記念病院のInoueらは,自験の三叉神経痛に対する神経血管減圧術585症例からVBAが原因の26例(全体の4.4%,男女同数,平均68歳,左が17例)を抽出してその手術成績を示し,彼らの行っているテフロンロール(TR)テクニックを紹介している.TRはテフロンシートを硬く巻いてロールにしその中央を糸で縛ったもので,脳幹とVBAの間に縦に挿入した.術後追跡期間中央値は47ヵ月.