径可変ステントリトリーバー(Tigertriever)は高い再開通率を達成する:FDA認可

公開日:

2021年6月12日  

最終更新日:

2021年6月14日

New Class of Radially Adjustable Stentrievers for Acute Ischemic Stroke: Primary Results of the Multicenter TIGER Trial

Author:

Gupta R  et al.

Affiliation:

Wellstar Medical Group, Department of Neurosurgery, Wellstar Health System Kennestone Hospital, Marietta, GA, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:33739136]

ジャーナル名:Stroke.
発行年月:2021 May
巻数:52(5)
開始ページ:1534

【背景】

Tigertriever(以降TIGER)は血管内血栓除去(EVT)用のX線非透過性の新規ステントリトリーバーで,術者の手許でバスケットの径を徐々に変化させることが出来る.本研究は米国を中心とした17センターで実施されたTIGERを用いたEVTのシングルアーム試験である.前方循環閉塞でASPECTS 6~10を対象とした.導入期相(各施設4例まで)(43例)の後に主試験相(117例)に入った.一次エンドポイントはTIGERのパス3回以内での再開通(mTICI:2b-3)とした.

【結論】

主試験相では,TIGERによる一次エンドポイント達成は84.6%で,歴史的対照(過去の6報のベイズ・メタアナリシス)は73.4%であり,非劣性マージンの63.4%を超えていた(優位性p<.01,非劣性p<.0001).ファーストパス成功率は57.8%.TIGERの3パス以降に他のデバイスを用いた症例を含めた再開通率は95.7%,エクセレント再開通(mTICI:2c-3)は71.8%.一次安全性エンドポイント(死亡と症候性頭蓋内出血)はTIGERで18.1%で,歴史的対照で20.4%であった(優位性p=.057).

【評価】

本論文で紹介されているRapid Medical社(Israel)のTigertrieverは全体が放射線不透過性で,バスケットの径を徐々に変化させ半径方向力を変化させることが出来る.これによって血栓をより効率的にバスケットの中に取り込み末梢塞栓を減少させることが出来る.2021年6月現在,TIGERには最大拡張径が9,6,3,2.5 mmの4種類がある.
すでに欧州ではEU基準適合マーク(CE mark)を2016年に取得しており臨床利用されている(文献1,2,3).本論文のシングルアーム試験結果の発表(International Stroke Conference, 2021年3月)を受けてFDAのクリアランスが出されている(2021年4月1日発表).Rapid Medical社は動脈瘤リモデリング用メッシュであるComaneciを開発し2019年5月にFDAの認可を受けている(文献4).また,同社はIn-situ tip shaping(脳動脈内においたまま先端の形状を変化させること)が出来る新規ガイドワイヤーColumbusも販売している.
本試験は,過去に既存のステントリトリーバー(Solitaire, Trevo)を用いて実施されたEVTの6報(TREVO2,SWIFT,MR CLEAN,ESCAPE,REVASCAT,SWIFTPRIME)を歴史的対照としたシングルアーム試験であるが,より高い再開通率を示した(84.6% vs. 73.4%,優位性p<.01,非劣性p<.0001).また,TIGERのパス3回以内でのエクセレント再開通率(mTICI:2c-3)は63.2%であった.安全性(死亡と症候性頭蓋内出血の出現)に関しては統計学的な優位性には僅かに到達していないが(優位性p=.057),非劣性は証明されている(非劣性p=.0004).また,90日後の良好な機能予後(mRS≦2)は58%で歴史的対照の43.5%を上回っていた(p=.006).さらに新規梗塞巣の出現(末梢塞栓など)は2.6%で歴史的対照7.4%より有意に少なかった(p=.0403).
論文を読む限り,優れた効果と安全性を示しており,今後日本にも導入されそうなデバイスである.しかし,径可変ということは血管壁にかかる圧力も可変ということであり,特有の合併症が起こりそうな気もする.

執筆者: 

有田和徳