髄膜腫の7個の分子亜型と再発の関係:469例の検討

公開日:

2021年7月9日  

最終更新日:

2021年7月9日

Associations of meningioma molecular subgroup and tumor recurrence

Author:

Youngblood MW  et al.

Affiliation:

Yale Program in Brain Tumor Research, Yale School of Medicine, New Haven, Connecticut, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:33068421]

ジャーナル名:Neuro Oncol.
発行年月:2021 May
巻数:23(5)
開始ページ:783

【背景】

髄膜腫の8割は7つの分子亜型のいずれかに属している(文献1~4).イェール大学のチームは分子亜型が判明している469例の髄膜腫の臨床像を後方視的に解析した.患者の性・年齢,過去の摘出手術歴,WHO病理分類,WHOグレード(I vs. II/III),発生部位,摘出度,Ki-67(>5%か否か),補助療法,再発の有無,再発までの期間などを解析対象とした.平均追跡期間は54.2ヵ月.

【結論】

手術後2年間での再発率はNF2,PI3K,HH(Hedgehog),TRAF7の4亜型では9.5~17.4%で,KLF4,POLR2A,SMARCB1の3亜型(合わせて1.3%)に比較して22倍高かった(p=.00087).PI3K活性化変異を有する腫瘍では他の亜型に比較して再発までの期間は短かった(p=.0075).WHOグレードIの中ではHHとTRAF7亜型が他の亜型に比較して再発率が高かった.全体の42%を占めるNF2亜型では再発は男性,ハイグレード腫瘍,Ki-67高値群で高かった.
Cox多変量解析ではHH型がWHOグレード,前回再発と並んで独立した再発予測因子であった.

【評価】

今回取り挙げた7つの分子亜型のそれぞれといくつかの臨床所見との関係は既に報告されてきたが,本研究は7亜型全体を対象として包括的な臨床像との相関を解析した点でユニークである.
7つの亜型のうちNF2,PI3K,HH,TRAF7の4亜型ではKLF4,POLR2A,SMARCB1の3亜型に比べて,手術後2年間の再発が有意に多いことが示された.特にWHOグレードI内でのHHとTRAF7亜型の再発率の高さには注目すべきである.
ただし,本研究の平均追跡期間はまだ54ヵ月と限られており,さらに長期の前向き研究が必要である.
なお,本研究では髄膜腫で認められる他のドライバー変異(BAP1,SMARCE1)に関してはその頻度が少ないとの理由で検討の対象とはなっていない.また予後不良因子として報告されている1p欠失(文献5)の大部分はNF2亜型で認められたが,再発との相関は認められなかった.やはり再発との相関が報告されているTERT(文献6)は10例で認められ,全てがグレードII/IIIで,2例に再発が認められたが,統計パワー不足で結論は得られなかった.
Cox多変量解析では7個の分子亜型のうちHHのみが再発の独立した予測因子であったがそのハザード比は2.7(1.0~7.0)(p=.046)であり,WHOグレードのハザード比4.7(2.7~8.4)(p<.001)に比べればあまり強い予測因子ではない.
今後,髄膜腫ではWHOグレードに加えて分子亜型をどのように実臨床に持ち込んでいくのか,引き続いて議論が必要と思われる.

執筆者: 

有田和徳