WHO中枢神経系腫瘍第5版の概説:ネイビーからブルーへ

公開日:

2021年8月10日  

最終更新日:

2021年10月9日

【背景】

脳腫瘍の遺伝子異常が次々に発見されるに従い,脳腫瘍の診断や予後推定における分子診断の重要性が明らかになってきた.これに基づいて,前回2016年のWHO第4版改訂版では従来の組織分類と分子情報を併せた「統合診断 integrated diagnosis」の概念が提出された.
本稿は間もなく出版予定の第5版についての,その編者の一人であるLouis DNによる概説である.
これによれば,第5版は第4版改訂版を土台として,その後の当該領域での新たな発見と発展,そして国際神経病理学会(ISN)からのcIMPACT-NOWという形での7回の提言を背景に組み立てられた.このため第5版は,分子診断の更なる進化による大幅な変更が含まれている一方で,組織学と免疫染色という従来の手法も反映したという.結果として,第4版改訂版に比較して新規の診断名22個が加わっている.