片頭痛患者に対するCGRP受容体拮抗薬Atogepant内服は高い有効性を示す:3相RCT(ADVANCE)の結果

公開日:

2021年9月6日  

Atogepant for the Preventive Treatment of Migraine

Author:

Ailani J  et al.

Affiliation:

MedStar Georgetown University Hospital, Washington, DC, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:34407343]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2021 Aug
巻数:385(8)
開始ページ:695

【背景】

片頭痛の発症には三叉神経節や硬膜上の三叉神経末梢に存在する神経ペプチドCGRPの放出が関わっていることが明らかになっており,発作予防薬として抗CGRP抗体やCGRP受容体拮抗薬などの開発が進んでいる.本稿は米AbbVie社が開発中のCGRP受容体拮抗薬アトゲパントの第3相多施設,2重盲検RCTである.
月平均片頭痛回数4~14回の成人910例が登録され,アトゲパント1日1回経口投与(10,30,60 mg/日)か,プラシーボの4群に無作為に割り付けられた.1回でも内服し投与前後の活動障害ダイアリー(AIM-D)のデータが得られた873例(各群214~223例)が有効性解析の対象となった.

【結論】

主要評価項目である3ヵ月間の月平均片頭痛日数は,ベースラインの7.5~7.9日に比較してアトゲパント3群で3.9~4.2日減少し,プラセボ群で2.5日減少した(各用量群ともp<.0001).副次評価項目である月平均頭痛日数,月平均片頭痛日数が50%以上減少した患者の割合,QOL(質問票MSQ v2.1),ADL(AIM-D)では,10 mg群においてAIM-D日常生活実施能力ドメインとAIM-D身体障害ドメインでプラセボ群との間に有意差がなかった以外はすべてアトゲパント群で有意に改善していた(どの評価項目でもp<.01).重篤な有害事象として喘息と視神経炎の各1例が10 mg群で認められた.

【評価】

CGRPは,三叉神経節や硬膜上の三叉神経末梢に存在する神経ペプチドであり,CGPRの放出が血管拡張作用や神経原性炎症を介して,片頭痛発作を引き起こすことが判ってきた(文献1,2,3).現在種々の抗CGRP受容体拮抗薬,抗CGRP抗体薬,抗CGRP受容体抗体薬の開発が進められている(文献3,4).
この中で,CGRP受容体拮抗薬(ゲパント系薬剤)は経口投与が可能で,小分子化合物であるためBBB通過性もある.その幾つかは肝機能障害のため開発中止になったが,このアトゲパント(Atogepant)第3相治験では肝機能障害は認められず,重篤な有害事象も少なかった.1日1回の経口投与で,3ヵ月間にわたる投与期間内で片頭痛と頭痛の日数を有意に減少させ,QOLとADLの改善を示しており,発作予防薬としての臨床使用に向け大きな一歩を踏み出したということが出来る.現在,FDAに申請中で2021年9月末までには判断が示される予想である.
同じくCGRP受容体拮抗薬である米Allergan社のウブロゲパント(UbrelvyⓇ)が2019年12月に,米Biohaven社のリメゲパント(Nurtec OD錠Ⓡ)が2020年1月にFDAの承認を得ているが,これらは片頭痛の急性期治療の適応での承認である.
一方,抗CGRP抗体に関しては,我が国でもガルカネズマブ(エムガルティⓇ)皮下注射剤とフレマネズマブ(アジョビⓇ)皮下注射剤が2021年に相次いで販売承認されている.
今後ゲパント製剤の我が国での治験も進むと思われ,片頭痛治療は一気に変化することが予想される.
さらに,新たな片頭痛急性期治療薬として5-HT1F受容体の特異的作動薬であるラスミディタン(Lasmiditan)経口剤も2019年にFDAの承認が得られている.この薬剤は血管収縮作用を持たないためトリプタンが使用禁忌の患者にも使用できる.
1990年のトリプタンの登場から30年を経て,CGRP関連薬を中心とする新薬の登場によって,片頭痛の治療はポスト・トリプタンの時代を迎えつつあることを実感できる.
ちなみにゲパント(gepant)はcalcitonin GEne-related Peptide receptor ANTagonistに由来する.

執筆者: 

有田和徳