分岐部広頚動脈瘤に対するpCONusデバイスを用いた塞栓術:198例200動脈瘤のメタアナリシス

公開日:

2021年9月21日  

最終更新日:

2021年9月22日

Endovascular embolization of wide-necked bifurcation aneurysms with the use of pCONus device: A systematic review and meta-analysis

Author:

Krupa K  et al.

Affiliation:

Department of Radiology, Jagiellonian University Medical College, Krakow, Poland

⇒ PubMedで読む[PMID:33130244]

ジャーナル名:Clin Imaging.
発行年月:2021 
巻数:70
開始ページ:81

【背景】

広頚脳動脈瘤に対する血管内治療デバイスの開発,治療手技の発達は著しい.ドイツPhenox社のpCONusタイプ1は分岐部広頸動脈瘤に対する塞栓術時のコイル塊の親動脈への逸脱を防ぐために設計された自己拡張型ステント型デバイスである.そのシャフト部は母動脈内で展開され,先端のペタル部は動脈瘤頚部内で拡張するので安定した固定が得られる.コイルはステントの内腔を通して瘤内に挿入される.タイプ2はその進化型でより短くなり,ペタルが増え,ペタルの手前で細くなっており,操作性が改善している.本稿はポーランド・ヤギェウォ大学放射線科チームによるメタアナリシスである.対象は8報198例200動脈瘤.

【結論】

部位は中大脳動脈45%,前交通動脈34%,脳底動脈16%などであった.48例が破裂動脈瘤.直近の報告の12例でタイプ2が使用されている以外はすべてタイプ1であった.塞栓術直後の閉塞程度はRRI:47%,RRII:33%,RRIII:20%で,短期経過観察例(3~6ヵ月)ではRRI:55%,RRII:29%,RRIII:16%であった.合併症は33例17%で認められ,その中では血栓塞栓性合併症が最多で73%(全体の12%),ステント内血栓9%,動脈瘤からの医原性出血6%が続いた.130例で報告された機能予後mRSは0が72%,1が12%,2が6%で,機能予後不良(mRS 3~6)は10%であった.

【評価】

コイル単独による治療が困難な広頚動脈瘤に対する血管内治療用デバイスと手技は急速に発達している.この中でワッフルコーン・テクニックとは,ステントの先端部を分岐部動脈瘤の頚部で展開して,コイルが逸脱しないブリッジを形成し,母動脈内で展開させたステントのシャフト部分からマイクロカテーテルを瘤内に誘導する方法である(文献1,2,3,4).この手技には様々なデバイスが用いられるが,2021年現在,我が国ではCerenovus/Johnson&Johnson社のPulseRiderが薬事承認されている.本稿はPhenox社のpCONus 1,2を用いワッフルコーン・テクニックでコイル塞栓術が実施された200個の動脈瘤のメタアナリシスである.
本メタアナリシスでは, pCONusステント補助下の分岐部広頚動脈瘤のコイル塞栓術の閉塞程度はRRI+IIで84%,合併症率は17%,機能予後良好(mRS 0~2)は90%という結果であった.未破裂瘤に限ればRRI+IIで91%,破裂瘤ではRRI+IIで81%である.著者らはこの成績をmoderateであると結論している.採用した研究はいずれも対照のないケースシリーズであるので,詳細な評価は困難であるが,既報のPulseRiderやBarrelを用いたステント補助下塞栓術より閉塞率は悪かったという.ただし本pCONusのメタアナリシスの対象例のうち24%が破裂動脈瘤であった点は勘案されるべきであろう.
また, 治療に伴う合併症についてもpCONusシリーズが従来のステント補助下コイル塞栓術の成績に比較して優れているわけではなかったという.
いずれにしても今後,破裂瘤の割合,動脈瘤サイズ,ドーム/ネック比を揃えた集団を対象に,長期の追跡結果に基づいて,他のデバイスと比較したpCONusの優越性を解析すべきであろう.

執筆者: 

有田和徳