EVT直後のフラットパネルCTによるASPECTS評価は機能予後推定に有用

公開日:

2021年10月20日  

最終更新日:

2021年10月20日

Association between flat-panel computed tomography hyperattenuation and clinical outcome after successful recanalization by endovascular treatment

Author:

Baek JH  et al.

Affiliation:

Department of Neurology, Kangbuk Samsung Hospital, Sungkyunkwan University School of Medicine, Seoul, Republic of Korea

⇒ PubMedで読む[PMID:33361477]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2020 Dec
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

血管内血栓除去(EVT)後のCTにおける造影効果(高吸収域)はBBBの障害すなわち虚血コアを示すが(文献1,2),術後時間が経つと造影効果は減弱し不明瞭となる可能性がある.一方,EVT実施直後,患者を移動することなく撮像可能なフラットパネルCT(FPCT)はより正確に虚血コアを提示すると想像される.ソウル成均館大学のチームはFPCT-ASPECTSと予後との関係を求め,EVT前のCT-ASPECTSならびにEVT後24時間前後で行われたMR-ASPECTSと比較した.対象はEVTが施行され再開通が得られた235例,45.5%でtPA投与を受けた.発症から再開通までは383 ± 290分.

【結論】

FPCT-ASPECTSは機能予後良好群(mRS≦2)では非良好群より有意に高く(9.3 ± 0.9 vs 6.7 ± 2.6),逆に悪性梗塞群(外減圧を必要とするか死亡をもたらす強い脳腫脹を示す)では非悪性梗塞群より有意に低かった (3.4 ±2.9 vs 8.8 ± 1.4).FPCT-ASPECTSは機能予後良好と悪性梗塞の独立因子であった(調整OR 3.28と0.42).機能予後良好推定に関わるFPCT-ASPECTSのAUCは0.86(カットオフ≧8)で,CT-ASPECTS(AUC 0.64)より高く(p<.001),MR-ASPECTS(AUC 0.85)と同等であった.

【評価】

そうだろうねという結果である.既に,EVT前のCTはスキップして救急外来からアンギオルームに直行してそこでFPCTをとって,CTで出血がなく大血管閉塞が確認できれば,鼠径部穿刺を行うというプロトコールを採用している施設もある(文献3,参考サマリー1).本論文はEVTで再開通が得られた症例(TICI 2bか3)をCT室に移動せずにFPCTで虚血コアのASPECTSを評価した結果の紹介である.その結果FPCT-ASPECTSは正確にその後の機能予後を推定出来,その精度はEVT前のCT-ASPECTSより高く,通常EVTの翌日に行うMRI-ASPECTSに匹敵したというのが結論である.
EVT前のCT-ASPECTSはその後EVTという治療介入を受けているので,予後推定にはEVT後のFPCT-ASPECTSの方が正確である(AUC:0.86 vs 0.64)ことは当然予測可能である.またMRI-ASPECTS(AUC 0.85)と匹敵したというのも了解可能である.
この研究の問題点はEVT直後のFPCTとEVT後の通常CTとの比較がないことである.EVT後に直ちに撮影したFPCTとCT室に向かい撮影した解像度の高いCTでは機能予後の推定にどちらが有用なのだろうか.
著者らはEVT後CT室に移動してCTを撮ったのでは1時間くらいの遅れが生じるので,その間に高吸収域が薄くなってしまうのを危惧しているようである.どうして1時間なんだろうと思ってしまう.少なくとも日本ではせいぜい10分くらいではないだろうか.したがって,この研究はEVT直後FPCT-ASPECTSの有用性というよりはEVT直後CTの有用性と捉えることができるだろう.
ただし,EVT操作直後でまだ,シース/イントロデューサーを抜去していない段階のFPCT-ASPECTSと抜去後CT室に移動しての通常CTでは時間差がありそうである.両群で虚血コア診断能に差があるかどうかは今後の検討課題である.
一方,この研究では悪性梗塞の予測において,FPCT-ASPECTがカットオフ≤ 5で高い精度(AUC 0.906)を示したことは重要な発見である.EVT直後に悪性梗塞の早期予測が可能であれば,脳圧降下・浸透圧利尿剤の開始や減圧開頭に向けた準備など,それに対する対策を早期に開始することが出来そうである.

執筆者: 

有田和徳