H3K27me3の欠失を示す髄膜腫は再発が多い:7報2,180症例のメタアナリシス

公開日:

2022年10月27日  

The Emerging Relevance of H3K27 Trimethylation Loss in Meningioma: A Systematic Review of Recurrence and Overall Survival with Meta-Analysis

Author:

Lu VM  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, University of Miami, Miami, Florida, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:35439620]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2022 Jul
巻数:163
開始ページ:87

【背景】

びまん性正中グリオーマでは,H3K27の変異は遺伝子抑制ヒストン修飾であるH3K27のトリメチル化(H3K27me3)を欠失させることを通じて腫瘍化や腫瘍増殖に寄与している(文献1,2).また最近,髄膜腫でもH3K27me3の欠失が再発と関わっていることが報告されている(文献3~7).マイアミ大学のLuらは2018年以降に報告された後方視研究7報2,180症例(男性59%,平均56歳)のメタ解析を行った.WHOグレード2~3のみあるいは3のみを対象とした研究もあり報告間のバイアスは大きかった.H3K27me3欠失を有する患者は213例10%であったが,プール解析では15%と算出された.

【結論】

再発について6報で記載されており,プール化多変量解析では,H3K27me3欠失を有する腫瘍の再発のハザード比は1.77(95% CI,1.23~2.31;p<.01)であった.OSに関しては3報4コホートでカプラン・マイヤー解析が実施され,このうち2コホート(グレード2が1コホート,グレード3が1コホート)(文献6,7)では多変量解析で,H3K27me3欠失群が有意に短かった(ハザード比14.4と2.6,p=.01と.04).

【評価】

本メタ解析の対象となったのは7報告であるが,いずれも後方視的な研究であり,またリアルワールドの髄膜腫の全症例を対象としたものは2報に過ぎず,ハイグレードの症例のみを対象とした研究も2報あり,研究対象のばらつきが認められる.また,観察期間についても18.1ヵ月から120ヵ月とばらつきが大きい.そうした意味では,現段階で髄膜腫のH3K27me3欠失に関してメタ解析を行うこと自身の困難さが容易に想像出来る.
何とか得られた結論は,H3K27me3欠失を有する腫瘍は,欠失を有さない腫瘍に比較して再発のハザードが有意に高かったということだけである.OSに関しては,WHOハイグレードを対象とした2コホートで,H3K27me3欠失群で短かったことの紹介に留まっている.
髄膜腫におけるH3K27me3欠失の意義について,今後より大規模で全WHOグレードを含んだ集団の長期的追跡を通して明らかになることを期待したい.

執筆者: 

有田和徳