神経血管減圧手術後には両側性の低音域聴力低下が起こり得る:埼玉医科大学

公開日:

2023年4月12日  

最終更新日:

2023年7月11日

【背景】

神経血管減圧術(MVD)後に,患側の聴力低下が生じることがある.その頻度は,日本の多施設研究では三叉神経痛で2.4%,顔面けいれんで1.9%である(文献1,2).しかし,手術前後で純音聴力検査を行った症例を対象とすれば,その頻度は高く,メタアナリシスでは13.5%と13.4%に達する(文献3).従来,MVD後の聴力低下としては,高音域の低下が注目されてきたが(文献4),本稿の著者らはMVD後に低音域の聴力低下(LF-HI)が生じることに気がついていた.本稿は2015年以降に埼玉医科大学で実施されたMVD270件(顔面けいれん238例,三叉神経痛32例)を対象にその実態を解析したものである.