前庭神経鞘腫摘出術後の遅発性顔面神経麻痺はその後どうなるのか:神戸大学の38例

公開日:

2024年1月10日  

最終更新日:

2024年3月4日

【背景】

前庭神経鞘腫摘出術直後には顔面神経麻痺がなかった患者に,手術後数日して顔面神経麻痺が生じることがある(文献1,2).これを遅発性顔面神経麻痺(DFP)と呼ぶ.その頻度は4.8-25.0%で(文献2,3,4),稀なものではないが,その原因,危険因子,病態,有効な治療,予後に関しては未だ判っていない.神戸大学のFujitaらは自験の孤発性前庭神経鞘腫を解析して,こうした問題を検討した.DFPは手術後72時間以上経過後にHBグレードの1段階以上の悪化が認められたものと定義した.対象は前庭神経鞘腫266例で,38例(14.3%)にDFPが認められた.DFP発生中央値は術後8.5日(4-21日)であった.