前方経錐体法(ATPA)による錐体斜台部腫瘍の摘出:慶應義塾大学の33年間274例の経験から何を学ぶか

公開日:

2024年2月26日  

最終更新日:

2024年5月13日

【背景】

錐体斜台部や小脳橋角部腫瘍に対する前方経錐体法手術(ATPA)は1980年台に慶応義塾大学の河瀬らによって開発され(文献1,2,3),腫瘍,脳幹,脳神経,主要血管を直視しながら手術が出来るため,広く普及した.本稿は,慶応義塾大学で1984年以降の33年間にATPAによる摘出術が行われた錐体斜台部腫瘍274例の後方視的解析である.
腫瘍の肉眼的全摘出率は,全体では53.5%,髄膜腫148例で54.1%,三叉神経鞘腫31例で87.1%,脊索腫21例で14.3%であった.ATPAによる手術の直後では,片側不全麻痺の45.0%,小脳症状の39.3%,三叉神経症状の19.1%で改善が得られた.