末梢性中口径動脈急性閉塞(DMVO)に対する機械的血栓除去後の点状出血発生の頻度とリスク因子:世界37施設(MAD-MT)の1,428例

公開日:

2026年2月9日  

最終更新日:

2026年2月9日

Prospective, population-based detection of intracranial vascular malformations in adults: the Scottish Intracranial Vascular Malformation Study (SIVMS)

Author:

Essibayi MA  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, Montefiore-Einstein Cerebrovascular Research Lab, Montefiore Medical Center, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, New York, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:12702837]

ジャーナル名:Stroke.
発行年月:2003 May
巻数:34(5)
開始ページ:1163

【背景】

頭蓋内大血管の急性閉塞(LVO)に対する血栓回収(MT)の有用性については複数のRCTで証明されているが(文献1-3),中間径や末梢動脈の急性閉塞(DMVO)に対するMTの有効性・安全性は確立していない(文献4-6).
本稿は,世界37施設で実施されている,DMVOに対するMTの登録研究(MAD-MT)(文献7)に2016年から2024年に登録された1,428例を解析し,MT後の閉塞動脈領域の点状出血の頻度,リスク因子,転帰との関係について解析したものである.閉塞部位はM2,M3,M4,A1,A2,A3でPCAは除外された.
439例(30.7%)が治療1-2日後にCTかMRIで点状出血を示した.

【結論】

点状出血群では治療前のNIHSSは高く(p =.0001),ASPECTSは低かった(p <.0001).
多変量解析では,複数回のパス(aOR 1.58,p =.001),経静脈的血栓溶解療法の併用(aOR 1.31,p =.04),吸引法とステント・レトリーバーの併用(aOR 1.66,p =.007)は点状出血の有意の危険因子であった.
逆に,全身麻酔の使用,高いASPECTS,再開通成功は点状出血の発生率低下と相関していた.
点状出血は,良好な機能予後(90日目のmRS <3)のオッズの低下,早期の神経機能改善のオッズの低下と相関し,全死亡率上昇と相関した(いずれもp <.001).

【評価】

機械的血栓回収(MT)術後の点状出血は,稀ではあるが致命的となり得る脳実質内血腫に比べて,臨床的には目立ちにくいがその頻度は高く,MT手技の安全性に関する評価に役立つ可能性が高い.
本研究は,DMVOに対するEVTの国際登録研究(MAD-MT)に登録された1,428例という大規模コホートに基づく後ろ向き解析であるが,治療後の点状出血(出血性梗塞に関するHeidelberg分類の1型か2型)の頻度は30.7%で,従来,脳主幹動脈急性閉塞(LVO)に対するMTで報告されている頻度(15~30%)(文献8,9,10)と同等かやや高率であった.本研究では,点状出血群は非出血群と比較して,治療前のNIHSSが高く,ASPECTSは低かった.また多変量解析では複数回のパス,経静脈的血栓溶解療法の併用,吸引法とステント・レトリーバーの併用(吸引法単独に比べて)が点状出血の出現と相関していた.
なお,MT後の点状出血の出現は,90日目の機能予後不良や全死亡と相関していたが,これは直接的な因果関係と言うよりは,背景にある脳組織障害の重症度を反映している可能性がある.
現在のところ,DMVOに対するMTの有用性については評価が定まっていない.本研究によれば,DMVOに対するMT後の点状出血は約3割で認められており,機能予後不良と相関することから,手技の複雑性が予測される症例ではMTは避けた方が良いのかも知れない.今後DMVOに対するMTがLVOのように一般的な治療行為として普及するためには,最適化された手技と,閉塞血管系の治療前の詳細な評価に基づく前向き研究が欠かせないように思われる.

執筆者: 

有田和徳

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