活性化第XI因子阻害剤アスンデキシアンによる虚血性脳卒中の二次予防:OCEANIC-STROKE試験

公開日:

2026年7月27日  

Asundexian for Secondary Stroke Prevention

Author:

Sharma M  et al.

Affiliation:

McMaster University, Population Health Research Institute, Hamilton Health Sciences, Hamilton, ON, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:41985132]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2026 Apr
巻数:394(15)
開始ページ:1467

【背景】

虚血性脳卒中後の抗血小板療法による発リスクの低下は十分ではなく(文献1,2),二次予防を行っても虚血性脳卒中またはTIA患者の約5%は1年以内に再発する(文献3).
活性化第XI因子阻害薬アスンデキシアンは,大出血を増加させず,症候性虚血性脳卒中を減少させる可能性が示唆されている(文献4).
本OCEANIC-STROKE試験は,37ヵ国702施設で実施された虚血性脳卒中二次予防におけるアスンデキシアン上乗せ投与の有効性と安全性を検証する二重盲検RCTである.非心原性虚血性脳卒中または高リスクTIA発症後72時間以内の患者を,各施設で予定された2剤または単剤抗血小板療法に加えて,アスンデキシアン50 mg 1日1回または偽薬投与群に無作為に割り付けた.

【結論】

無作為化された12,327例(アスンデキシアン群6,162例,偽薬群6,165例)を中央値19ヵ月間追跡した.追跡期間における虚血性脳卒中はアスンデキシアン群で偽薬群より少なかった(6.2% vs 8.4%,原因別HR 0.74,95% CI 0.65-0.84,p <0.001).心血管死,心筋梗塞,または脳卒中からなる複合評価項目の発生もアスンデキシアン群で少なかった(9.2% vs 11.1%,原因別HR 0.83,95% CI 0.74-0.92,p <0.001).大出血は両群で同程度であった(1.9% vs 1.7%,原因別HR 1.10,95% CI 0.85-1.44).
重篤な有害事象は19.2% vs 19.5%で,両群間に差はなかった.

【評価】

第XI因子は内因系凝固経路の一部であり,遺伝性第XI因子欠乏症の患者では脳内出血を増加させずに虚血性脳卒中リスクを低下させることが知られている(文献5,6).バイエル社が開発したアスンデキシアンは,経口活性化第XI因子阻害薬である.先行する,非心原性虚血性脳卒中を対象とした第2相試験(PACIFIC-STROKE)では,抗血小板療法へのアスンデキシアン追加により,大出血または臨床的に重要な非大出血を有意に増加させることなく,症候性虚血性脳卒中を減少させる可能性が示されている(文献4,7).
本OCEANIC-STROKE試験は,非心原性虚血性脳卒中または高リスクTIA患者12,327例を対象とした国際的な第3相RCTである.日本からは杏林大学や藤田医科大学病院などが参加している.その結果,各施設で予定された抗血小板療法に加え活性化第XI因子阻害薬アスンデキシアンを投与することにより,19ヵ月間の追跡期間内の虚血性脳卒中発症率が偽薬群より有意に低下することが明らかとなった.またアスンデキシアン追加群でも大出血リスクは上昇せず,症候性頭蓋内出血,出血性脳卒中,致死性出血も偽薬と同程度であった.
明快な結果である.今後,脳梗塞の再発予防において,アスピリンなどの抗血小板剤と並び,抗凝固薬であるアスンデキシアンが中心的な役割を担う可能性が予測される.
アスンデキシアンは米国FDAにおいて優先審査中であるが,現時点では未承認である.一方,本邦ではこのOCEANIC-STROKE試験の成績に基づき,2026年5月に承認申請が行われているので(文献8),その動きに注目したい.

執筆者: 

有田和徳