公開日:
2026年7月27日Repeat gamma knife radiosurgery for recurrent trigeminal neuralgia: a systematic review and meta-analysis
Author:
Santana MFP et al.Affiliation:
University Center of Várzea Grande, Várzea Grande, Mato Grosso, Brazil| ジャーナル名: | Acta Neurochir (Wien). |
|---|---|
| 発行年月: | 2026 May |
| 巻数: | 168(1) |
| 開始ページ: | 143 |
【背景】
薬剤抵抗性三叉神経痛に対するガンマナイフによる定位放射線治療(GKRS)は低侵襲治療であり,重要な治療選択肢のひとつである.短期追跡では75%を超える患者で良好な疼痛制御が報告されているが(文献1-3),20%を超える症例で再発も報告されており(文献4-6),再発に対する治療法の確立は重要な課題となっている.本論文は三叉神経痛に対する再度のGKRSの有効性についての系統的レビューおよびメタアナリシスである.
解析対象は21論文であり,再発三叉神経痛に対して再GKRSを受けた2,020例が含まれた.病因別では特発性三叉神経痛が約85%を占めた.初回GKRSから再GKRSまでの間隔は5-138ヵ月(中央値約36ヵ月)であった.
【結論】
再GKRSは,ほとんどの症例で三叉神経REZを標的とし,辺縁線量の中央値は70-80 Gyであった.再治療後の疼痛緩和は70-90%の患者で得られ,良好な疼痛緩和(BNI I-III)の統合割合は77%(95% CI 70-82)であった.追跡期間中央値は14-74ヵ月で,最終追跡時のBNI I-IIIを維持していた統合割合は62%であった.再治療後の再発は10-35%に認められた.顔面感覚障害は20-45%に報告されたが,日常生活上問題となるような異常感覚や有痛性感覚脱失はまれ(3%未満)であった.
最大10研究を含むメタアナリシスでは,再治療後の疼痛緩和と年齢,疼痛持続期間,前回GKRSからの間隔,線量の間に有意な相関は認められなかった.
【評価】
三叉神経痛に対する治療の第一選択は神経血管減圧手術(MVD)であり,GKRS後の三叉神経痛の再発に対してもMVDが施行されることが多い(文献7-9).GKRS後の再発三叉神経痛に対するMVD後の疼痛完全消失は,術直後で80-90%前後,最終フォローアップで55-80%前後と報告されている.しかし,初回治療としてMVDが選択されなかった理由として,高齢,全身状態の不良,開頭野の問題,圧迫血管の不在,患者の希望などがあったと考えられ(文献10),これらの問題は,GKRS後の三叉神経痛の再発に際して容易に解消するわけではない.
そのため,再GKRSという選択肢が現実的に浮上する.
本メタアナリシスは,三叉神経痛に対する再GKRSの転帰に関する最新のエビデンスを統合したものである.その結果,2回目のGKRSにより,77%の患者で良好な疼痛緩和(BNI I-III)が得られ,長期追跡でも62%に持続的効果が認められた.したがって,再発に対する治療としてMVDを選択できなかった患者に対するやむを得ない選択肢としての再GKRSは,比較的良好で長期の疼痛コントロールをもたらす有用な治療法であることが示唆される.
問題は合併症であるが,本メタアナリシスの対象全体では死亡または永続的な神経脱落症状は報告されていない.最も頻度の高い有害事象は顔面感覚低下(39%)であり,次いで異常感覚(12%),味覚異常(11%),角膜乾燥(11%),不快な異常感覚(7.5%),咀嚼障害(3%)であった.再度のGKRSを選択する場合は,これらの不快な合併症が,ときにQOLを大きく損なう可能性について,十分な説明と同意取得が必須であろう.
今後の研究により,再GKRS後の効果を予測するパラメータおよび合併症の発生を予測するパラメータが明らかにされることを期待したい.
執筆者:
有田和徳関連文献
- 1) Kondziolka D, et al. The longterm results of radiosurgery for trigeminal neuralgia. N Engl J Med 334:1077–1083, 1996
- 2) Régis J, et al. Prospective controlled trial of Gamma Knife surgery for essential trigeminal neuralgia. J Neurosurg 90(3):447–45, 1999
- 3) Tuleasca C, et al. Stereotactic radiosurgery for trigeminal neuralgia: a systematic review. J Neurosurg 130(3):733–757, 2018
- 4) Barzaghi LR, et al. Factors affecting long-lasting pain relief after Gamma Knife radiosurgery for trigeminal neuralgia: a single institutional analysis and literature review. Neurosurg Rev 44:2797–2808, 2021
- 5) Lee S, et al. Gamma Knife radiosurgery for trigeminal neuralgia: review and update. J Korean Neurosurg Soc 65(5):633–639, 2022
- 6) Tuleasca C, et al. Risk factors for pain recurrence after Gamma Knife radiosurgery for classical trigeminal neuralgia. J Neurosurg 129(1):195–205, 2018
- 7) Patra DP, et al. Repeat Gamma Knife radiosurgery versus microvascular decompression following failure of GKRS for trigeminal neuralgia: a systematic review and meta-analysis. J Neurosurg. 131:1197–1206, 2019
- 8) Sekula RF Jr, et al. Microvascular decompression after failed Gamma Knife surgery for trigeminal neuralgia: a safe and effective rescue therapy? J Neurosurg. 113:45–52, 2010
- 9) Cheng J, et al. Microvascular decompression for trigeminal neuralgia in patients with failed Gamma Knife radiosurgery. Clin Neurol Neurosurg. 161:88–92, 2017
- 10) Chan MD, et al. Radiosurgical management of trigeminal neuralgia. Neurosurg Clin N Am. 24:613–621, 2013
参考サマリー
- 1) 再発三叉神経痛に対する再手術後の痛み無し(BNIスコアIかIIIa)は術後6年の長期観察でも80.8%と高い
- 2) 三叉神経痛患者の20%にオピオイドが投与されている:USA
- 3) 典型的三叉神経痛にもかかわらず神経血管圧迫が認められない症例では患側三叉神経周囲の髄液の乱流が生じている
- 4) 80歳以上の三叉神経痛患者に対する神経血管減圧手術は危険か:クリーブランド・クリニックの経験
- 5) 三叉神経痛に対する神経血管減圧手術中の高血圧は手術の成功を予言する:三叉神経心臓反射の関与
- 6) 三叉神経痛の術前MRIは高解像度撮像法でも, 圧迫血管診断の陰性適中率が低い(33.4%):ジョンズ・ホプキンズ大学1,020例の解析
- 7) 三叉神経痛の手術において, 三叉神経根を貫いている血管をどうすべきか:連続58例の解析
- 8) 椎骨脳底動脈による三叉神経痛の26手術例:椎骨脳底動脈と完全に分離しなくても良い
- 9) 三叉神経痛を呈する錐体斜台部髄膜腫には摘出術かガンマナイフか:138例のメタアナリシス
- 10) 三叉神経痛術後寛解予測スコアリング(1~5)の開発