30歳以下の若年者の三叉神経痛に対する神経血管減圧術:コロンビア大学アーヴィング医療センターの22例

公開日:

2026年7月28日  

Outcomes of Microvascular Decompression for Young-Onset Trigeminal Neuralgia

Author:

Joncas CT  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, Columbia University Irving Medical Center, New York Presbyterian Hospital, New York, New York, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:42300235]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2026 Jun
巻数:Online ahead of print.
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【背景】

三叉神経痛(TN)は主として高齢者の疾患であり,平均発症年齢は60歳台である(文献1,2).しかし,新規発症TNの最大32%は50歳未満で発症する(文献3).一方,若年発症TN患者における神経血管減圧術(MVD)後の疼痛コントロールは,一般に高齢患者より不良であるとされている(文献4-6).
本論文は,NY市コロンビア大学アーヴィング医療センターにおいて,2007年からの16年間にTNに対してMVDが施行された30歳以下の22例を対象とした後方視的解析である.手術時年齢中央値は26.7歳であった.17例(77.3%)は純粋発作性疼痛(PPP)を呈するTNであり,5例(22.7%)は持続性疼痛(CCP)を伴うTNであった.

【結論】

5例(22.7%)は,過去に経皮的グリセロール神経根ブロックなど,同側の三叉神経または三叉神経節に対する破壊的治療を受けていた.
MVD後,9例(40.9%)は術直後から内服なしで無痛となった.一方,追跡期間中央値9.4年の時点では,14例(63.6%)が内服なしで無痛であり,この14例はいずれもPPP症例であった.合併症としては,小後頭神経痛が2例(9.1%)に生じた.追跡期間中,5例(22.7%)でTNに対する追加治療を要した.
サブグループ解析では,PPPを呈した17例中14例(82.4%)は最終追跡時に内服なしで無痛であった.一方,CCPを有した患者では,内服なしで無痛を達成した症例はなかった(p =.0021).

【評価】

三叉神経痛(TN)に対する成人を対象とした初回神経血管減圧術(MVD)後の無投薬疼痛消失率は,術後早期で80-90%前後,長期追跡時点でも65-80%とされている(文献2,7-9).それに比べて,本研究の対象となった30歳以下のTN患者における,追跡期間中央値9.4年での無投薬疼痛消失率63.6%という成績はやや劣っている.この結果は,若年発症TN患者におけるMVD後の疼痛コントロールに関する従来の報告と一致している(文献4-6).しかし,持続性疼痛を伴わない純粋発作性疼痛(purely paroxysmal pain:PPP),いわゆる典型的な三叉神経痛の17例に限れば,最終追跡時でも82.4%で無投薬疼痛消失を達成しており,全年齢層を対象としたMVD後の成績と大きな違いはない.逆に持続性疼痛(concomitant continuous pain:CCP)を伴うTNでは,最終追跡時点での無投薬疼痛消失率が0%であったことを考慮すれば,特に若年TN患者に対するMVDの実施にあたっては,持続性疼痛を伴う症例の適応を慎重に判断することが重要であることを示唆している.

執筆者: 

有田和徳

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