レビュー: マイクロプロラクチノーマ手術における有効性とリスク -最近15年の論文から-

公開日:

2016年12月25日  

最終更新日:

2017年5月10日

THERAPY OF ENDOCRINE DISEASE: Surgery in microprolactinomas: effectiveness and risks based on contemporary literature.

Author:

Karavitaki N  et al.

Affiliation:

Institute of Metabolism and Systems Research, University of Birmingham,UK

⇒ PubMedで読む[PMID:27207245]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2016 Sep
巻数:175(3)
開始ページ:R89

【背景】

プロラクチノーマ(PRLoma)に対しては薬物療法がfirst-line治療であり,85〜93%でPRL値の正常化が得られるとされている.一方,長期間の内服継続が必要であり,内服のコンプライアンス,患者の利便性,副作用にも配慮が必要である.本研究はマイクロプロラクチノーマ(MicroPRLoma)に対する手術について最近15年間の論文をレビューし,その有効性とリスクについて検討したものである.

【結論】

①手術によるPRL値の正常化率は71〜100%で,合併症のリスクは低い.
②術前のドパミンアゴニストの投与は手術成績を悪化させるという報告もあるが,MicroPRLomaでははっきりした相関は認めなかった.一方,術前のPRL値は術後の寛解率と逆相関を認めた.
③MicroPRLomaに対して薬物療法がfirst-line治療である.一方,エキスパートによる手術が前提となるが,特に若い患者に対しては手術も有効な選択肢となり得る.手術適応となる患者に対しては,薬物療法に加えて手術の選択肢も提示する必要がある.

【評価】

PRLomaに対してはドパミンアゴニストの有効性が確立され,手術症例は減少しているといえる.本稿でも顕微鏡手術と比較し,PRLomaに対する内視鏡手術の論文が減少していると指摘している.本邦では周知のごとく「日本間脳下垂体腫瘍学会」からのガイドラインで「MicroPRLoma の場合,熟達した脳神経外科医が手術すれば治癒する可能性が十分あることを治療の選択肢として説明する」とされているが,実際の臨床では手術をfirst-line治療とする症例は少なくなっていると感じる.
この様な状況のなかで,本稿ではMicroPRLomaに対する手術において,治療成績・合併症率の検討から,手術も治療選択肢の1つとして評価している.特に若い患者にはコスト面から,薬物療法より手術が優るかも知れないとし,若年患者に対してはfirst-line治療の選択肢の1つとして検討する必要性を指摘した.
MicroPRLomaに対して薬物療法がfirst-line治療であることに変わりはないが,特に若年者に対しては手術という選択肢を提示し,治療開始前の十分な説明が必要であると思われる.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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