マイクロプロラクチノーマに対する治療の費用効果:10年では内視鏡下手術がベスト

公開日:

2016年12月27日  

最終更新日:

2017年5月10日

Cost-Effectiveness Analysis of Microscopic and Endoscopic Transsphenoidal Surgery Versus Medical Therapy in the Management of Microprolactinoma in the United States.

Author:

James K. Liu  et al.

Affiliation:

Departments of Neurological Surgery, New Jersey Medical School, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:26548828]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2016 Mar
巻数:87
開始ページ:65

【背景】

プロラクチノーマはドパミンアゴニストによって効果的に治療されているが,生涯にわたる薬物療法を避けるために,セレクトされたケースに対する手術療法も提案されている.New Jersey Medical SchoolのLiuらは経蝶形骨洞手術(顕微鏡下か内視鏡下)と薬物療法(ブロモクリプチンかカベルゴリン)の費用効果を比較した.TreeAge Pro Suiteソフトを用いて2アームデシジョンツリーを作成して手術先行治療と長期薬物療法を比較した.医療費用については第三者支払い機関(保険会社等)のデータを用いた.

【結論】

基本ケースシナリオでは5年間では顕微鏡下手術が,10年では内視鏡下手術が最も費用効果が高かった.二元感度分析では,手術による根治率90%, 合併症率が1%以下という前提で,内視鏡下手術が,最も費用効果が高かった.モンテカルロシミュレーションを行うと内視鏡下手術の1年間の増分効果費用(ICER/1QALY)は最初の5年で約8万ドル,10年で約4万ドルであり,手術後年数が経つにつれて費用効果は高くなった.

【評価】

米国の医療費用を基礎とした費用効果分析である.本文中の表を見ると,薬物療法にかかるコストは日本より高いので,この分析をただちに日本に当てはめることは出来ないように思える.また,本モデルでは手術後再発のリスクが組み込まれていないという問題も指摘出来る.しかし,薬物療法の場合は本研究で対象とした10年でなく20年,30年間の内服という患者もいるので,手術一発で根治された症例に比較すれば費用効果はやはり劣る可能性がある.
最も重要な点は,本文でも述べられているように,手術は選択された症例(microprolactinoma)が対象で,高い治癒率(90%)と低い合併症率(<1%)を誇るhigh volume centerに属する経験豊かな術者のみよって実施される必要性があることである.

執筆者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する