成長ホルモン補充療法を受けている非機能性下垂体腺腫患者の標準化死亡比(SMR)は健常者より低い:Swedenの住民ベース研究

公開日:

2016年12月27日  

最終更新日:

2017年5月10日

Life expectancy in patients with pituitary adenoma receiving growth hormone replacement.

Author:

Olsson DS  et al.

Affiliation:

Department of Endocrinology, Institute of Medicine, Sahlgrenska Academy, University of Gothenburg and Sahlgrenska University Hospital, Göteborg, Sweden

⇒ PubMedで読む[PMID:27770012]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2017 Jan
巻数:176(1)
開始ページ:67

【背景】

下垂体機能低下症を有する患者は健常人と比較して死亡率が高く,成長ホルモン分泌不全症(GHD)はその原因の1つと考えられている.また,成長ホルモン(GH)の補充により死亡率を低下させるとも報告されている.
しかし,過去の報告では,対象となったGHD患者の原因疾患は多種類混在しているという問題がある.本稿では対象を非機能性下垂体腺腫者に限定し,GH補充療法が生命予後に与える影響について検討した.対象はGH補充群207例とGH非補充群219例.追跡期間(中央値)は補充群12.2年,非補充群8.2年.

【結論】

SMR(標準化死亡比)はGH非補充群1.16,GH補充群は0.65で有意に低かった(p=0.018).GH補充群は悪性新生物による死亡が少なく (SMR 0.29, P = 0.004),GH非補充群では脳血管障害による死亡が多かった (SMR 1.78).

【評価】

本稿では非機能性下垂体腺腫に対象を限定しているため,頭蓋咽頭腫やクッシング病など生命予後に直接影響を及ぼすような原疾患の影響が除外されている.その上で,GH補充療法により死亡率を低下させることが示された.
非機能性下垂体腺腫のみが対象疾患であるが,グルココルチコイドの補充率は高い(GH補充群で67%,GH非補充群で40%).しかし,GH補充群はグルココルチコイドの補充率が有意に高いにもかかわらず,死亡率が低い.またGH補充群は非補充群よりBMIが有意に高いにもかかわらず,脳血管障害による死亡が少ない.さらに,GH補充が悪性新生物の発生を助長するのではないかという懸念があるが,本研究では逆にGH補充群で悪性新生物による死亡が少ない.
以上の結果から,GH補充療法が非機能性下垂体腺腫術後患者の生命予後に好ましい影響を与えることがうかがえる.

執筆者: 

木下康之

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