神経下垂体部病変に対する経蝶形骨洞下垂体後葉生検術の有用性

公開日:

2017年2月10日  

最終更新日:

2017年5月8日

Transsphenoidal posterior pituitary lobe biopsy in patients with neurohypophysial lesions.

Author:

Kinoshita Y  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:28034815]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2016 Dec
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

神経下垂体部には腫瘍性病変,炎症性病変など多様な疾患が生じるため,時に生検術による組織診断が必要となる.従来,同病変に対しては下垂体茎生検術が行われてきた.しかし,下垂体茎生検術は下垂体機能を悪化させるおそれがあり,このため生検術は病変を含めた下垂体茎の大きさが6.5〜7.0mm以上で行うことが勧められている(文献1, 2).
本稿では下垂体茎生検術の代わりに経蝶形骨洞手術(TSS)による下垂体後葉生検術を行った連続11例を検討した.

【結論】

①MRIでは全例で下垂体茎と下垂体後葉の両方に病変を認めた.
②全例で後葉生検による組織診断が得られた.Germinomaが9例,Langerhans cell histiocytosisが1例,頭蓋咽頭腫が1例であった.
③生検術前より尿崩症を認めた10例は,生検術後も全例で尿崩症が持続した.また,生検術前に尿崩症を認めなかった1例は,生検術後も尿崩症が出現しなかった.

【評価】

本稿では後葉が腫大し,下垂体後葉を示すとされるMRI T1高信号が消失している症例では,後葉生検術を検討すべきとされている.一方,後葉生検術によってどのような疾患でも診断可能なのか,また,下垂体前葉・後葉にどのような影響があるのか,症例数も少ないため疑問点も残る.
しかし下垂体茎に代わって,後葉の生検術によって組織診断が得られるメリットは大きい.下垂体茎の太さによらず生検術が可能で,生検時期に制限がないこと, 下垂体茎生検が拡大経蝶形骨洞手術を必要とするのに対して,後葉生検は通常の経蝶形骨洞手術で可能なことがあげられる.神経下垂体部病変を有する患者に対して下垂体茎生検術を計画する際には,後葉生検術が可能ではないか一度検討する価値がある.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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