先端巨大症における合併症,治療パターン,疾病費用:Swedenにおけるナショナルレジストリー結合研究

Vol.2, No.1, P.7 公開日:

2017年2月12日  

最終更新日:

2020年12月13日

Comorbidities, treatment patterns and cost-of-illness of acromegaly in Sweden: a register-linkage population-based study.

Author:

Lesén E  et al.

Affiliation:

Department of Internal Medicine and Clinical Nutrition Institute of Medicine, Sahlgrenska Academy, University of Gothenburg, Gothenburg, Sweden.

⇒ PubMedで読む[PMID:27932528]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2017 Feb
巻数:176(2)
開始ページ:203

【背景】

Swedenのナショナルレジストリーとパーソナルナンバー紐付けによる先端巨大症の疫学調査である.2005〜2013年に診断された患者の長期にわたる治療パターンの変化を評価し,1987〜2013年に診断された患者の2013年における疾病費用をsocietal perspective を用いて算出した.

【結論】

358人の患者が先端巨大症と診断され,81%の患者が最低1つの合併症を有していた.その頻度は高血圧(40%),下垂体以外の新生物(30%),下垂体機能低下症(22%),糖尿病(17%)であった.初期治療は手術(60%),ソマトスタチン製剤(21%),ドパミン製剤(14%)であった.手術後24%にソマトスタチン製剤が投与された.患者一人あたりのcost(費用)は€12,000/年であり,2005年以降に診断された患者では€16,000/年であった.この費用は77%が直接費用(医療費)であり,23%が生産量低減であった.

【評価】

Swedenお得意のナショナルレジストリーとパーソナルナンバー紐付けによる疫学調査である.本研究では(他の多くのSwedenの疫学研究がそうであるが),National Patient Register, Swedish Prescribed Drug Register, Cause of Death Register, Register on Sickness Absenceを用いている.病欠のデータまで行政が管理しているのは驚きであるが,このデータを用いて病気による生産量低減が算出されている.このデータによるとacromegalyによるSweden全体の疾病費用は€6,328,000(7億7千万円)/年と計算でき,単純に人口比を基に日本に当てはめると約96億円/年となる.

執筆者: 

有田和徳

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