下垂体腺腫におけるPDL-1の発現

公開日:

2017年3月5日  

最終更新日:

2017年5月8日

Increased expression of programmed death ligand 1 (PD-L1) in human pituitary tumors.

Author:

Dunn IF  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:27655724]

ジャーナル名:Oncotarget.
発行年月:2016 Nov
巻数:7(47)
開始ページ:76565

【背景】

一部の下垂体腺腫は種々の治療に抵抗性で,生命予後すら不良なものがある.種々の腫瘍細胞におけるPD-L1の発現は免疫チェックポイント阻害剤の治療反応性を示唆している.下垂体腺腫を対象にPD-L1 mRNA と蛋白(免疫染色)の発現を検討した(n=48).

【結論】

全ての下垂体腺腫にPD-L1発現が認められた.PD-L1 mRNA と蛋白の発現は機能性腺腫の方が非機能性腺腫に比較して高かった.PD-L1 mRNA発現は初発下垂体腺腫の方が再発例より高かった.腫瘍に浸潤するリンパ球は全ての下垂体腺腫で,特に機能性腺腫において強く認められ,PD-L1発現と正相関していた.

【評価】

脳腫瘍を含む種々の腫瘍においてPD-L1の発現が認められ,その発現率と免疫チェックポイント阻害剤の効果の関係が示唆されている.
本論文では,腫瘍に浸潤するリンパ球は全ての下垂体腺腫で認められ,PD-L1発現と正相関していることを指摘している.一方,本文中では異型性腺腫と定型腺腫の間で,あるいはMiB-1値3%以上と以下の間でPD-L1の発現に差がないことも示されている.
著者らは,リンパ球浸潤が多く,かつ腫瘍のPD-L1発現が高い初発の機能性下垂体腺腫が抗PD-L1治療の良い適応となるかも知れないと推論している.しかし,腫瘍におけるPDL-1の高発現が免疫チェックポイント阻害療法の効果を予想するのかに関しては,未だ定説はないので,本研究で示された事実から,下垂体腺腫のうちのある集団における免疫チェックポイント阻害療法の効果について論評することは出来ないように思われる.腫瘍のPDL-1発現と免疫チェックポイントメカニズムの関係については,腫瘍細胞におけるPTEN,EGFRなどのシグナルのダイナミズムも含めて,更なる検討が必要である.

執筆者: 

有田和徳

関連文献


メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する