Vol.2, No.2, P.3 公開日:
2017年3月24日最終更新日:
2021年1月18日Clinical characteristics of acromegalic patients with empty sella and their outcomes following transsphenoidal surgery.
Author:
Sasagawa Y et al.Affiliation:
Department of Neurosurgery, Graduate School of Medical Science, Kanazawa University, Kanazawa, Japanジャーナル名: | Pituitary. |
---|---|
発行年月: | 2017 Aug |
巻数: | 20(4) |
開始ページ: | 403 |
【背景】
2014年にMehtaらは,empty sella(ES)を伴うクッシング病は,手術による長期治療成績が悪く,髄液漏のリスクが高いと報告している(文献1).本稿では先端巨大症患者78例を対象とし,ESを伴う12例(15.4%)とESを伴わない66例を後方視的に比較検討した.
【結論】
ESを伴う先端巨大症患者は,ESを伴わない患者と比較して女性に多く(p=0.047),腫瘍は小さい(p=0.001)傾向を認めた.また,ESを伴う先端巨大症患者は,術中髄液漏の頻度が有意に高かった(p=0.024).術後の内分泌学的寛解率はESを伴う先端巨大症患者において低い傾向であった(p=0.248).
【評価】
2014年にLiuらはESを伴う先端巨大症について報告している(文献2).その中で,micro GHomaの20.3%(14/69例)にESを認め,GHoma以外のmicroadenomaにESを合併する頻度(3.9%,4/103例)より有意に高いと報告している.本研究でも先端巨大症にESを伴う頻度は15.4%と高い.
クッシング病と先端巨大症の違いはあるが,ESを伴う症例では手術による内分泌学的寛解率が低いという点で,本稿と先述のMehtaらの結果(文献1)は同様であった.本稿ではGHomaの海綿静脈洞内進展の頻度とESの有無に関連性は認められなかったが,ESを伴う先端巨大症患者ではMRIで腫瘍が確認できないoccult adenomaが多かったことが,寛解率に影響を及ぼしている可能性がある.
執筆者:
木下康之関連文献
参考サマリー