Vol.2, No.2, P.8 公開日:
2017年4月9日最終更新日:
2020年12月13日Optimizing sellar reconstruction after pituitary surgery with free mucosal graft: results in the first 50 consecutive patients.
Author:
Pinheiro-Neto CD et al.Affiliation:
Division of Otolaryngology and Head-Neck Surgery, Department of Surgery, Albany Medical Center, Albany, New York.ジャーナル名: | World Neurosurg. |
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発行年月: | 2017 May |
巻数: | 101 |
開始ページ: | 180 |
【背景】
下垂体腫瘍に対する内視鏡手術では,有茎鼻中隔粘膜弁を用いた鞍底再建によって,術後髄液漏の頻度が減少している.一方,有茎鼻中隔粘膜弁を採取すると鼻内合併症のリスクが高くなることも知られている.
本稿では下垂体腺腫患者,連続50例を対象とし,鼻腔底から採取した遊離粘膜片(free graft)を用いて鞍底再建し,術後髄液漏,graftとdonor側の術後経過,Sino-Nasal Outcome Test(SNOT-22)を用いた術後鼻症状を評価した.
【結論】
術中髄液漏は40%に認めたが,術後髄液漏は認めなかった.術後1ヵ月目に内視鏡下に鼻腔内を観察すると,graft側は完全に治癒し,donor側もほぼ全体が粘膜に覆われていた.
術後1ヵ月目のSNOT-22 スコアは術前と変化なかった.
【評価】
本研究ではfree mucosal graftも鞍底再建に利用でき,それに伴う鼻症状は軽微であることが示された.しかし,本稿で対象となったような下垂体腺腫手術で髄液漏が生じても,そもそも有茎鼻中隔粘膜弁が必要となることはない.逆に有茎鼻中隔粘膜弁が必要とされるような拡大経蝶形骨洞手術においてfree mucosal graftがどこまで有効であるのかは示されていない.Free mucosal graftが有茎鼻中隔粘膜弁の代わりになるとは言えないが,鞍底再建法の一つの選択肢を示したことは評価できる.
関連文献
参考サマリー