下垂体腺腫に対する内視鏡下手術の優位性は確立されているのか:レビュー

公開日:

2017年5月4日  

最終更新日:

2017年5月2日

Recent Evolution of Endoscopic Endonasal Surgery for Treatment of Pituitary Adenomas.

Author:

Nishioka H  et al.

Affiliation:

Department of Hypothalamic and Pituitary Surgery, Toranomaon Hospital, Tokyo, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:28239067]

ジャーナル名:Neurol Med Chir (Tokyo).
発行年月:2017 Apr
巻数:57(4)
開始ページ:151

【背景】

経蝶形骨洞手術に内視鏡が導入されて久しいが,本当に内視鏡手術が経鼻鏡手術を上回っているのか,そうあれば,どのような腫瘍の場合なのか,顕微鏡下手術も内視鏡下手術も数多く経験している著者によるextensive reviewである.

【結論】

① 鞍上部や海綿静脈洞部への著しい伸展がない非機能性下垂体腺腫に対しては,両者とも有効である.
② 内視鏡手術は大型の非機能性下垂体腺腫における切除率や手術合併症に関する手術結果を改善する可能性がある.
③ 理論的には内視鏡手術の優位性が存在するが,経験者による手術では,機能性腺腫の寛解率は両者に差がない.
④ 内視鏡手術は,トルコ鞍外に伸展した腫瘍に対する拡大手術において,より有用であろう.

【評価】

2016年のマネージドケアのデータによれば,米国では内視鏡下手術と顕微鏡下手術の割合はおおよそ半々であり,決して内視鏡下手術が,顕微鏡下手術を駆逐しているわけではない.本レビューの著者も述べているが,NIHのOldfieldらのグループは,現在でもクッシング病を対象に専ら顕微鏡下摘出手術を実施しており,優れた成績を示している.クッシング病は手術で根治が達成出来なければ,不良な生命予後にも直結しかねない重篤な疾患である上に,術前MRIで診断困難な直径2〜3mmの極微小腺腫は稀ではなく,海綿静脈洞など周囲組織への浸潤も多い.このような“Nasty”な腫瘍を3D観察下,両手での繊細な操作が可能な顕微鏡下手術で文字通り根治したいという気持ちは,多数の経験を有する下垂体外科医なら充分に共感出来る.
スタイルにこだわることなく,ベストな結果を出すための戦略・戦術が必要だというはこの領域でも必要な見識である.
一方,年間50例〜100例の下垂体手術をこなしているlarge volume centerはともかく,年間20〜30例の経験数にとどまっている施設では,これから下垂体手術を始めようとする術者が内視鏡手術,顕微鏡手術両方で急峻なラーニングカーブを同時に描く事は困難である.それなら,汎用性の広い内視鏡手術に徹底的にこだわって,経験を蓄積してはどうかという著者の考えも,合理的である.


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