下垂体卒中における蝶形骨洞粘膜の肥厚は急性期・重症例に多い:47例での検討

公開日:

2017年5月6日  

最終更新日:

2017年10月17日

Sphenoid sinus mucosal thickening in the acute phase of pituitary apoplexy.

Author:

M. Waqar  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Greater Manchester Neuroscience Centre, Salford Royal Foundation Trust (SRFT), Stott Lane, Salford M6 8HD, UK

⇒ PubMedで読む[PMID:28421421]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2017 Apr
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

急性期下垂体卒中おいて蝶形骨洞粘膜の肥厚が観察される事実は,2001年Aritaらによって報告(参考文献1)されて以来,広く知られている.本稿では47例の下垂体卒中(PA)と50例の非機能性下垂体腺腫(NFPA)について後方視的に多変量解析を用いて検討した.

【結論】

①蝶形骨洞粘膜の厚さはPA群で中央値2.0mmを示し,NFPA群(中央値0.5mm)より有意に厚かった.
②PA群とNFPA群の両群合わせた多変量解析では,蝶形骨洞膜肥厚と有意に関連する因子は下垂体卒中のみであった.
③PA群のみでの多変量解析では,蝶形骨洞膜の肥厚と有意に関連する因子は,発症からMRI撮像までの時間が短いこと(≤ 1 week)と症状が重篤さ(Grade 2, 3)であることであった.

【評価】

15年以上前に初めて報告された下垂体卒中急性期患者に認められる蝶形骨洞粘膜の肥厚であるが、ようやく下垂体外科医の間にその認識が普及してきた(参考文献2)。本研究は過去最大の症例数で、かつ対照群をおいた臨床研究であり、下垂体卒中と蝶形骨洞粘膜肥厚の関係を多変量解析で証明した。また、やはり多変量解析の手法で、粘膜肥厚が急性期に認められること、臨床的な重症度と相関することを証明した。
今後、蝶形骨洞粘膜肥厚と予後との関係、手術適応との関係が明らかになることを期待したい。また現在、壊死におちいった腺腫組織から拡散した起炎物質が蝶形骨洞粘膜肥厚の原因と想像されているが、そのことの当否と、その影響がどこまで拡大しているのかについて検討が待たれる。一方、蝶形骨洞粘膜の微生物学的な検討と下垂体卒中発生との因果関係も興味深い。

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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