再発・再増大した非機能性下垂体腺腫ではHMGA1,MDM2の発現が上昇

公開日:

2017年5月20日  

最終更新日:

2017年5月19日

Analysis of Ki67, HMGA1, MDM2, and RB expression in nonfunctioning pituitary adenomas.

Author:

Yao X  et al.

Affiliation:

Key Laboratory of Central Nervous System Injury Research, Beijing Neurosurgical Institute, Capital Medical University, China

⇒ PubMedで読む[PMID:28255749]

ジャーナル名:J Neurooncol.
発行年月:2017 Apr
巻数:32(2)
開始ページ:199

【背景】

非機能性下垂体腺腫(NFPA)の再発や再増大に関する組織学的バイオマーカーはいまだ解明されていない.本稿ではNFPAの再発群(n=20)と再増大群(n=15)において,初回手術時と再手術時の組織検体を用いて,Ki67,high-mobility group(HMG)A1,mouse double minute 2 homolog(MDM2),retinoblastoma(RB)の蛋白発現を,免疫染色を用いて比較検討した.

【結論】

① 再発群においてHMGA1は初回手術時9/20例で陽性,再発時16/20例で陽性であった(p=0.022,χ² test).MDM2は初回手術時11/20例で陽性,再発時19/20例で陽性であった(p=0.003).
② 再増大群においてHMGA1は初回手術時4/15例で陽性,再増大時12/15例で陽性であった(p=0.003).MDM2は初回手術時9/15例で陽性,再増大時15/15例で陽性であった(p=0.006).
③ Ki-67,RBの発現は初回手術時と再発/再増大時の間に有意な差は認めなかった.

【評価】

本稿では,良く知られた癌蛋白であるHMGA1,MDM2がNFPAの再発/再増大の重要なバイオマーカーであることを示した.興味深い点は,同一患者における初回手術時と再発・再増大時の組織を比較し,再発/再増大時にHMGA1,MDM2の発現率が上昇している点である.本稿の内容に従えば,腫瘍が再発/再増大する際には腫瘍自体のbiological natureが変化していることになる.しかし,どのような機序で変化するのか推論されていない.
一方,一般に細胞周期の調節にかかわり癌抑制蛋白に分類されるRB蛋白の発現は,初回手術時と再発/再増大時に差が無かったが,全ての組織においてRB蛋白は陽性であることから,著者らはRB蛋白が非機能性下垂体腺腫の発生に関わっているのではないかと推測する.しかし,そのメカニズムの仮説は提唱されていない.
Ki-67と下垂体腺腫の増大・再発との関係は有りとするものから,無いとするものまで従来の報告は様々であるが,本研究では無いとの結果であった.本研究の最大の問題は,再発も増大もない症例との比較がなされていないことである.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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