高齢者における経鼻内視鏡手術はリスクが高め

公開日:

2017年5月21日  

最終更新日:

2017年5月19日

Endonasal endoscopic pituitary surgery in the elderly.

Author:

Wilson PJ  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery, Weill Cornell Medical College, New York-Presbyterian Hospital, New York, New York

⇒ PubMedで読む[PMID:28387628]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Apr
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

高齢化社会をむかえるなかで,高齢者の下垂体病変に対して手術を行う機会は増えている.高齢者に対する経蝶形骨洞手術についてはいくつも論文が報告されているが,内視鏡下手術についての論文は数編に過ぎない.
本稿では下垂体腺腫症例(135例)を60〜69歳群(60-69群:81例)と70歳以上群(70+群:54例)の2群にわけ,高齢者における経鼻内視鏡手術の治療成績と合併症について比較検討した.

【結論】

周術期合併症は60-69群群で7.4%,70+群で18.5%であった(p=0.05).頭蓋内疾患の合併は70+群のみで4例(7.4%)に認められ(術後血腫2例,仮性動脈瘤1例,症候性硬膜下水腫1例),70+群で有意に高かった(p=0.013).両群において腫瘍の再発率,再発までの期間に差は認めなかった.

【評価】

本論文を報告した施設では,手術前に腰椎穿刺によるfluoresceinの髄腔内投与が行われ,さらに術中髄液漏のリスクが高い症例には腰椎ドレナージが留置されている.それに伴う低髄圧が脳萎縮を伴う高齢者にとって,術後の頭蓋内血腫のリスクになっていると考察している.
従来,高齢者下垂体病変に対する手術は,若年者と比較し手術成績,周術期合併症のリスクはほぼ同等とする報告が多かった.しかし,それらの報告の多くは症例数が少なかったり,コントロール群が含まれていなかったりなど問題点もある.2010年Grossmanらが高齢者下垂体腫瘍の周術期死亡率が高いことを報告し(文献1),2015年にはGondimらは高齢者下垂体腺腫の周術期合併症が高いことを報告した(文献2).本稿の内容もふまえ,高齢者下垂体病変に対する手術はより慎重に適応を検討する必要があると考えられる.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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