パシレオチド(PAS)対オクトレオチド(OCT)の一対一試験(in vitro)

公開日:

2017年6月2日  

最終更新日:

2017年6月2日

In vitro head-to-head comparison between octreotide and pasireotide in GH-secreting pituitary adenomas.

Author:

Gatto F  et al.

Affiliation:

Department of Inernal Medicine, Division Endocrinology and Pathology, Pituita Center Rotterdam, Erasmus MC, Rotterdam, The Netherlands

⇒ PubMedで読む[PMID:28323931]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2017 Mar
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

オランダのLambertsらは成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫の一次培養細胞を用いて,パシレオチド(PAS)とオクトレオチド(OCT)のGH分泌抑制効果,また腺腫細胞のソマトスタチンレセプター(SSTR)の発現を検討した(n=33腺腫).

【結論】

全体のGH低下作用はPASとOCTで同一であった(-36.8% vs. -37.1%).PASがOCTより有効な6例ではSSTR2-mRNAの発現が低く,SSTR2-mRNA/SSTR5-mRNA比が低かった.プロラクチン過剰分泌があるGH産生腫瘍細胞ではPASの方がOCTよりプロラクチン低下作用はより顕著であった.

【評価】

主としてSSTR2のみ結合するOCTと異なり,PASはSSTR5への親和性も有している.最近のOCT対PASのhead to head 臨床治験では(Colao et al. 参考文献1),IGF-1の正常化はPAS群で高率であるのに対して,GHの正常化は両群で同一であった.このため,PASは肝細胞におけるSSTR(1, 3, 5)への親和性が高いことが示唆されてきた.残念ながら,この臨床研究ではSSTR2あるはSSTR5の発現は調べられていない.
今回のin vitroの試験では,SSTR2-mRNAの発現が低く,SSTR2-mRNA/SSTR5-mRNA比が低い腺腫細胞では,GH低下作用が高いことが示された.OCTに対して抵抗性の腺腫に対するPASの投与試験ではSSTR5高発現腫瘍の方がPASの効果が高いという報告はされているが(参考文献2),今後は薬物療法開始時にSSTR5とSSTR2発現量を根拠としたOCTとPASの使い分けの時代が来るかもしれない.
また,最近の研究によれば,PASがSSTR2に結合してからの細胞内シグナルの動きはOCTやソマトスタチンとは大部異なる事が示唆されてきた(二次メッセンジャー経路の“biased activation”).今後は,この点の解明も課題である.

執筆者: 

有田和徳

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