抗FSH抗体は褐色脂肪細胞を増やし,総脂肪量を減らす

公開日:

2017年6月3日  

最終更新日:

2017年6月2日

Blocking FSH induces thermogenic adipose tissue and reduces body fat.

Author:

Liu P  et al.

Affiliation:

Department of Medicine, and Mount Sinai Bone Program, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York, USA.

⇒ PubMedで読む[PMID:28538730]

ジャーナル名:Nature.
発行年月:2017 Jun
巻数:546(7656)
開始ページ:107

【背景】

閉経後の骨粗鬆と肥満は一般的に認められる.下垂体FSHのβ鎖に対するポリクローナル抗体がマウスの骨塩量を増加させることは既に報告されている.今回は同抗体が脂肪組織に与える影響を調査した.

【結論】

抗FSH抗体投与によって,ワイルドタイプのマウスでは,骨塩量の増加と共に脂肪組織の急な減少が認められた.この減少はFSH受容体ハプロ不全マウスと同じ表現型であったので,同抗体は脂肪細胞においてFSHシグナルを抑制することを通して効果を現していることがわかった.同抗体は脂肪組織のベージュ化,ミトコンドリアの増加,褐色脂肪細胞の活性化,熱産生を促進させた.

【評価】

これまで,寒冷刺激で交感神経終末からのノルアドレナリンが脂肪細胞上のβ3受容体に結合すると,UCP1が生成され,ミトコンドリアで脱共役が起こり,熱が産生されることが知られている.FSHは脂肪細胞内のcAMPを減少させることによって,UCP1の発現を抑制するが,本研究では,抗FSH抗体が褐色脂肪細胞でも白色脂肪細胞でもUCP1を急速に増加させることを確認出来た.著者らは,既にFSHモノクローナル抗体を作成し,このポリクローナル抗体と同様の効果を確認している.
閉経後の女性に対する抗FSH抗体投与が一般的になる日が来るかも知れない.閉経による肥満,骨粗鬆は自然の摂理であり,保険適応は考えられない.そうなると,カルシウムサプリは愛する妻への格安の愛情表現であったが,それでは許されない日が訪れるのかも知れない.
一方,病的肥満,心臓病,糖尿病への抗FSH抗体の応用も視野に入ってくるであろう.

執筆者: 

有田和徳

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