ACTH産生腺腫のmicroRNA 106b〜25クラスターとMCM7発現の意義

公開日:

2017年6月3日  

最終更新日:

2017年6月3日

Increased expression of the microRNA 106b~25 cluster and its host gene MCM7 in corticotroph pituitary adenomas is associated with tumor invasion and Crooke's cell morphology.

Author:

Garbicz F  et al.

Affiliation:

Laboratory of Centre for Preclinical Research, Department of Histology and Embryology, Medical University of Warsaw, Poland

⇒ PubMedで読む[PMID:28432562]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2017 Apr
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

最近,細胞サイクル調整蛋白であるミニ染色体維持蛋7(MCM7)が下垂体腺腫を含む種々の腫瘍におけるaggressiveness(攻撃性)と相関していることが報告されている.一方,microRNA 106b〜25クラスターは種々の癌腫において過剰発現しており,PTENの抑制→PI3K/Akt経路の活性化を通して,腫瘍の癌化や浸潤能に関与している.本研究ではCrooke細胞腺腫4例を含む25例のACTH産生腺腫の組織を用いて,MCM7とmicroRNA 106b〜25クラスターの発現と腫瘍の海綿静脈洞浸潤(Knosp Grade)との関係を求めた.

【結論】

海綿静脈洞浸潤(Knosp Grade:2〜4)腫瘍では,Ki-67とMCM7の免疫染色発現が高かった.MCM-7はCrooke細胞腺腫ではびまん性に陽性であった.miR-93-5pは浸潤性腫瘍で高発現していた.Crooke細胞腺腫ではmicroRNA 106b〜25クラスターのうち4個とも高発現していた.ROC解析ではMCM-7免疫染色陽性とmicroRNA 106b〜25クラスター高発現のコンビネーションは腫瘍の浸潤と術後再発を正確に予測した.

【評価】

MCMファミリー(MCM2-7)はすべての真核生物で維持されており,6量体として後期分裂(M)期とG1期の染色体と固く結合し,S-G2期には分離している.このため,MCM蛋白は通常の体細胞での発現は稀で,複製期にある細胞核にのみ発現する.最近,MCM蛋白,その中でも特にMCM7蛋白が種々の癌において高発現することがわかってきた.
一方,microRNA 106b〜25クラスター(miR-106b-5p,miR-93-5p,miR-93-3p,miR-25-3p)も種々の癌において高発現しており,PTENの抑制を通じた腫瘍発生の機序が想定されている.
興味深いことに,microRNA 106b〜25クラスターの遺伝子はMCM7の第13番目のイントロンに含まれているので,MCM7とmicroRNA 106b〜25クラスターは同様のメカニズムでその発現がコントロールされている可能性が高い.
最近,下垂体腺腫の浸潤や再発との関係が疑われるmicro RNAとして,miR-17-5p,miR-20a,miR-26b,miR-21, miR-200c,miR-128など多数が報告されているが,決定的なものはなく,腫瘍発生のメカニズムは未だ不明である.今後,腫瘍増殖や浸潤能に決定的な影響を与えるmicro RNAが発見されることを期待したい.
Crooke細胞腺腫は稀なACTH産生腺腫であり,浸潤能,増殖能が高いが,本研究において,MCM7とmicroRNA 106b〜25クラスターが共に高発現していたことは注目に値する.

執筆者: 

有田和徳

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