空虚トルコ鞍を伴う成長ホルモン産生下垂体腺腫に対する手術成績:新しい分類の提案

公開日:

2017年7月15日  

最終更新日:

2017年7月15日

Surgery outcome of growth hormone-secreting pituitary adenoma with empty sella using a new classification.

Author:

Wang Q  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgey, Peking Union Medical College Hospital, Shuaifuyuan, Beijing, China

⇒ PubMedで読む[PMID:28642181]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2017 Jun
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

成長ホルモン産生腺腫にEmpty sella(ES,空虚トルコ鞍)を伴うことはしばしば経験される.本論文はそのような51症例を対象にした顕微鏡下経蝶形骨洞手術の成績をまとめたものである.この51例は著者らが過去5年間に経験した先端巨大症780例のうち6.5%を占めた.

【結論】

症例を3群に分けた.すなわち,Grade A:腺腫のすべてがES最下線より下方にあるもの, B:腺腫の少なくとも一部が一側でES最下線より上方にあるもの,C:腺腫の少なくとも一部が左右両側でES最下線より上方にあるもの.治癒率はGrade AはGrade B,Cより有意に高かった(88.2%,55%,50%).術中髄液漏はGrade CではGrade Aより高かった(35.7% vs. 5.9%).ロジスティック回帰解析では治癒に対するリスク要因は腫瘍の大きさ, 術前空腹時GHレベル,高いGrade(B,C)であった.

【評価】

ESを伴った成長ホルモン産生腺腫における治癒予測因子と,術中髄液漏予測因子を検討したものである.ロジスティック解析では(非)治癒の予測因子としては,当然ながら腫瘍の大きさと術前GHレベルが上がって来るが,それ以外に腫瘍とESの位置関係(Grade)も関係していたという点が本研究で新規な点である.著者はGrade B,Cでは腫瘍が全摘出される前に鞍隔膜やクモ膜が下降してくるため,狭い術野となり,腫瘍が死角の中に取り残されてしまうという理由を考察している.これはもっぱら顕微鏡下手術での話だと考えられるが,内視鏡下手術でもGradeと治癒率に(逆)相関が出るのか知りたいところである.
術中髄液漏はESの最下点より上方まで腫瘍が存在するGarde Cでは,当然そのリスクが高くなる.
成長ホルモン産生腺腫で何故ESが多いのかについては以前から議論が積み重ねられて来たところだが,Garde Cは,もしかすると,もともと大きな腺腫が,壊死等の何らかの理由により縮小した結果であると考えれば,手術による治癒率が低いのも理解可能かも知れない.

執筆者: 

有田和徳

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